映画#76『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ、そして『エヴァンゲリオン』そのものの幕引きとなる、最終作。
前半では、サードインパクトにより荒廃した世界で逞しく生きる人々の日常生活が描写されている。
シンジの同級生である鈴原トウジや相田ケンスケといった、『Q』では消息不明だったキャラたちも久方ぶりに登場。
綾波レイのクローンであるアヤナミレイ(仮称)が、人間の生活や感情を知っていく姿は何とも微笑ましい。
だがその一方で、シンジは完全に心を閉ざしてしまった模様。
重すぎる罪の意識と、かけがえのない親友・カヲルを目の前で失ってしまったショックで会話もままならない状態に。
(重度の鬱病に罹っていたという庵野秀明も、実際こんな感じだったのかもしれない……)
しかしレイや村の人々は、そんなシンジを温かく出迎えてくれた。
『Q』では散々な扱いをされていたシンジだったが、彼は久々に人の暖かさに触れられたことだろう。
(散々罵っていたアスカも家出したシンジをわざわざ見に来ているあたり、やっぱり心配してるんだなぁと……てぇてぇ)
だがそんな幸せも長くは続かず、活動限界を迎えたアヤナミレイ(仮称)はLCLと化し、消滅。
彼女はシンジと共に時を過ごした綾波レイではない。なのに何故か、とても胸が締め付けられる。
シンジはそんな彼女のプラグスーツを抱きしめ、そして「自分で落とし前を付ける」と決意。再びAAAヴンダーの元へ戻るのであった。
という訳で後半戦はいよいよネルフVSヴィレの最終決戦。
宇宙戦艦ヤマトよろしく戦艦バトルが展開(作戦名が「ヤマト作戦」なので恐らくかなり意識してる)され、エヴァも出撃開始。
エヴァ2号機/アスカ、エヴァ8号機/マリは第13号機を止めに向かうも、そこでネルフの仕組んだ罠にハマってしまう。
そこに現れたるは、人の身を捨て神の領域に達さんとする碇ゲンドウ。
己の目的を遂に叶えるべく、エヴァ第13号機に搭乗しマイナス宇宙へ向かうゲンドウ、そこへ碇シンジが現れる。
ここで交わされる、シンジとミサトの会話に思わず涙。
『Q』でミサトがシンジに対しとても冷たかった分、ここでのやり取りにグッと来てしまう。
シンジは父の後を追うべく、8号機と共にマイナス宇宙へ。
「碇シンジ」と「エヴァンゲリオン初号機」……『Q』ではシンクロ率0%とされていたが、後にそれは誤ちだと明かされる。
シンクロ率「∞(無限大)」……流石は母と息子、といった所か。
こうしてエヴァ初号機/シンジと、エヴァ第13号機/ゲンドウの親子喧嘩が勃発。
目まぐるしく移り変わるマイナス宇宙の世界で戦う2人は、やがて「戦い」ではなく「会話」が必要であることを悟る。
ここで明かされる、秘められしゲンドウの過去。
ゲンドウもシンジと同じく、イヤホンで耳を塞ぎ、孤独と静寂を好む少年だったのだ。
(特にシンジと同じ年齢ぐらいのゲンドウの姿は、眼鏡を除けばシンジそっくり、というかまるっきりシンジ)
シリーズ全体を通しても決して交わることのなかった2人は、物語の終局にて漸く語り合うことができたのだった。
こうして考えると、何だかとても感慨深く感じてしまう。
(アディショナルインパクト、などなどのことは私も把握してないというかイマイチ理解できてないので割愛させて頂く……)
こうしてゲンドウはシンジと和解する形で立ち去り、シンジはカヲル、アスカ、そしてレイを救済しに向かう。
ミサトが命を賭して生み出した、「ヴィレの槍」の力を以て。
無限ループする世界の中で、シンジを救うことで自分も幸せになりたかったカヲル。
クローンとして生まれ、孤高に生きようと努力して、それでも誰かに頭を撫でて欲しかったアスカ。
最後にレイに別れを告げたシンジは、今の世界をエヴァのいない世界へ再構築するべく、ネオンジェネシスを決行。
シンジは槍を自身に突き刺そうとするも、そこでエヴァ初号機に宿る魂……母であるユイが、シンジを送り出すのだった。
エヴァ初号機とエヴァ第13号機、ユイとゲンドウ。漸く2人は再会を果たしたのだ。2人の幸せそうな顔に思わず涙がホロリ。
全てのエヴァシリーズが槍で貫かれ、消滅。
「さようなら、全てのエヴァンゲリオン。」
消えゆく世界の中で、マリと8号機がシンジを救出すべく到着。
なんと、真のヒロインは貴女だったか。
再構築された世界で、シンジはマリを連れて走り出す。
こうして、約26年にも及ぶエヴァンゲリオンの物語は、幕を閉じたのだった。
とまぁ、新劇場版を全て見返して思ったが……やっぱりアニメ版と旧劇場版観とくべきだったぁ〜〜〜〜〜
その方が絶対、今作観た時のインパクトあったじゃん、と絶賛後悔中。Dアニメストア入ろうかしら……
公開当時はリアタイで観に行ったが、ただ一心に「あーもう全員幸せになって終わってくれ」と願い続けていたことを未だに覚えている。笑
何はともあれ、めでたしめでたし、一件落着。
それではまた、次の映画にて。