映画#28『ムーンフォール』
次に地球をぶっ壊すのは宇宙人でも、氷河期でも、地殻変動でもない。月だ。
ディザスター映画として名高い『インディペンデンス・デイ』や『2012』、そして衝撃の問題作『GODZILLA』など、数々のエンタメSF作品を作り出した「ハリウッドの破壊王」ことローランド・エメリッヒ。
そんな彼が2016年公開『インディペンデンス・デイ:リサージェンス』ぶりにメガホンを取った。その名も『ムーンフォール』だ。
その内容は至って単純明快。地球の衛星である月が地球に落ちてくるのだ。(具体的には月の軌道が徐々にズレて、地球に大接近することでロッシュ限界を迎え月が崩壊、その無数の破片により地表がメチャクチャになってしまうというもの。)
なんとも荒唐無稽な話ではあるが、『2012』や『デイ・アフター・トゥモロー』での出来事のような、今後地球にも起こり得る現象…なんてことは全くなく、しっかりと地球外生命体による仕業である。
陰謀論などにおいて、「実は月はただの星ではないのでは?」といった説をよく耳にするだろう。理由としては「衛星にしては大きすぎる」「月の内部は空洞の可能性がある」「日蝕において太陽と月が重なる位置が不自然な程に綺麗すぎる」などが挙げられる。
今回月に起きた異変の真実とは、まさに「人類以外の未知なる存在」によって引き起こされたものである。過去のディザスター映画を例に挙げるとすれば「『グリーンランド』のようなものを期待して観たら『インディペンデンス・デイ』だった」といった所か。
(加えて言えば、不良とのカーチェイスのシーンは『ワイルド・スピード』、月の内部で敵から逃げ回るシーンは『スターウォーズ』を彷彿とさせられた。)
そして劇中、月は人類の遙か前の祖先が作り出した建造物であること、そしてそんな月に異変をもたらしていたのは、同じく人類の祖先が発明したAIであることが判明する。最も、そのAIとやらは既に暴走しており、人類はAIとの戦争の末に絶滅、残された人類は月に乗り込み故郷を去ったのだという。
AIはナノテクノロジーの集合体として月に異変をもたらし、また近づいた人類を惨殺していく。AIだというのに動きが妙に生物的なのがなんとも度し難い。
また地球が月の引力により破壊されていく様も実にエメリッヒ監督らしい。人間が長年築き上げてきた功績、叡智、痕跡を清々しいほどにぶっ壊していく。流石としか言いようがない。笑
私が過去に執筆した『2012』のレビューでエメリッヒ監督の「地球破壊活動」を「滅びの映像美」と揶揄したように、今作においても「崩れていく様もまた美しい」と思ってしまった。
CGの力である、と言われれば否定はできないが、地球が滅びゆく様を「芸術的だ」と思えるのはエメリッヒ監督作品だけのようにも思えてくる。
まとめ
新宿にも広告が大々と掲載されていたりと、やはりディザスター映画はいつになっても目を惹かれるものがあるなぁと痛感。
ただ疑問に思ったのが…何故映画館で上映しなかったのかということ。こういう映画は絶対映画館でやる方が音響も相まって迫力があるのに…アマプラ独占配信なのが残念に思えてならない。
あと人間ドラマに関してはちょーーーっと登場人物が多すぎてごっちゃになってる部分もあるかなぁと。誰が元妻で誰が元夫で誰が息子で誰が娘でetc…みたいな感じ。
しかしディザスター映画とはそんなものだと私は個人的に思っております。重要なのは如何に地球が派手にぶっ壊れるか、です(極論)
それではまた、次の映画にて。(いっぱい書き溜めてるから早く消化せねば…)