映画#74『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
個人的に、新劇場版シリーズの中では『シンエヴァ』と同じぐらい好きな作品。
今作は何よりも、日常シーンが光ってるのが特徴。
「使徒がいない時の第3新東京市」の光景を見て非常にほんわかする。
新たなるエヴァのパイロット・アスカが加わり、シンジら同級生組のわちゃわちゃしてる姿。
リョウジを忘れられないミサトのモヤモヤとした恋模様。などなど……
エヴァの作風上シリアスなシーンが多めになるが、だからこそこういったほのぼのとした日常のシーンが際立つと言えるだろう。
そんな中でいざ使徒が襲来した際も、シンジとレイとアスカ、3人のエヴァパイロットの連携が尚光る。
登場直後は尖っていたアスカも、共闘後にはだんだんと打ち解けていく。
(個人的に、痛い思いをしながらもアスカたちを信じ使徒からの攻撃に耐え抜くシンジに、何だか成長を感じちょっぴり感動した。笑)
しかしそんな平穏を笑顔でぶっ壊すのがエヴァンゲリオン。
エヴァは基本的に「大人と子供」という二つのテーマを添えている。
特に主人公の碇シンジと、彼の父親である碇ゲンドウの対立は、まさしく物語の根幹に当たる要素だ。
今作でようやく2人の距離が近づくと思われたが、それも叶わず。
使徒に汚染されたエヴァ三号機とアスカ。戦うことを拒否するシンジ。
だがゲンドウは冷酷にも、シンジの乗るエヴァ初号機をあえて制御不能状態にし、エヴァ三号機をアスカもろとも破壊してしまう。
子は親に逆らえない……やはりこれはどうしようもない事実なのだろうか。
しかし終盤で、シンジは初めて「己の願い」を実現させる。
使徒に飲み込まれた綾波レイを、何としてでも救い出すということ。
ゲンドウやミサトと比べ、確かにシンジはまだ子供だ。
だからこそ、今まで大人の言う通りにしていた、或いは逆らえなかったシンジだからこそ、このシーンで初めて「自分の願い」を発現したのだ。
それが例え、この世界を破滅へ導くような行為だったとしても。
それではまた、次の映画にて。