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青い鳥とカローラより安いベンツのこと
ベンツEクラスに乗ってます。
そしてタイトルにある通り、ごく普通のカローラより安いです。
今日の出だし、やな感じかもですが「カローラより安いベンツとの出会い」を今日は書いてみます。
4年ほど前、乗っていたのは夫のお古の20歳にもなるBMW。めっちゃ気に入っていました。マインドフルに運転すると、人馬一体ならぬ人車一体感がハンパないのです。
車は動けば良いと思っていた私が、お年寄りのこなれたBMWちゃんのおかげで車の楽しさを知ってしまったのです。
でもお別れは突然やって来ました。
もうすぐお家に到着する交差点で信号待ちしてたら、後ろから追突されてしまったのです。
幸い私は無事だったのですが、BMWちゃんはあまりに古くて修理じゃなくさようならになってしまいました。涙。
そして私は次の車を探す旅路に出ました。アメリカの中古カーディーラーはなかなか手強いです。特にアジア人女性はナメられます。
なのでマシュー(夫)をボディガードのように引き連れて、いくつものディーラーを回りました。しかしガチの交渉をするのは私です。
そこそこお安くて、そこそこ安全で、そこそこかわいくて、そこそこ壊れないーー最大公約数的な選択をしていました。
でも私は自分に嘘をついていたのです。あのBMWちゃんの乗り心地、妥協したくなかったのに、ごまかしていたのです。
当然色々探しても、ピンとくる巡り合いはありません。
近所に小さめのディーラーがあり、割と高級車ばかり置いていたので、「無理でしょう」と思い込んで行っていませんでした。
でも、あちこち行きまくっても見つからず、思い切って覗いてみることにしました。
そこには3年もののカローラがあって、あんまり気乗りしなかったのですが、「私にふさわしいのはこれくらいかしら」と思って値段を見たら、決して安くない。カローラでも無理なのか、と落ち込みかけたその視界の隅に入って来たのが6年ものの2ドアのベンツでした。
いや、なかなかかっこいいぞ。
でもカローラも難しい私にはとても手が出ない。
と思う自分も悔しいぞ。値段見ちゃお。
カローラと同じじゃないすかぁあ!
という驚きをディーラーには見せず(そこは年の功)、
「この車の情報いただけるかしら」とすまして訊いたら、欲しかったオプションは全て搭載、走行距離も少ない。家族向けの車が人気の私の街では2ドアクーペは売れ残ってしまい、どうも早く売りたそうです。
早速試乗して、ラグジュアリーな乗り心地に「私ごときがベンツなんて」と思ったけど、その自分の声にも耳を傾けます。昔から馴染みのある、「私なんて」「目立ってはいけない」「謙虚であるべき」というのと同じ声ね。
私は車で人の貴賤をジャッジするような人間ではない。であるなら、BMWちゃんからさらにステップアップした乗り心地で、予算内でしっかり安全に走る車なら何の問題もない。
よし、決めた。
試乗が終わって、交渉に成功し(何しろ相手は早く売りたがっている)、2ドアのベンツはカローラより安く私のものになりましたとさ。
はじめは入ろうともしなかった、すぐ近くにある高級車多めのディーラー。
そして見ようともしなかったベンツ。
値段を確認して試乗しても、まだためらっていた私。
そんな私に「そろそろ、それ卒業しようよ」と思った私。
手に入るかどうかは置いておいて、良いものをいろいろ見て経験すること。
そこから一般的に良いとされるもの、じゃなく「自分が好きなもの」に正直になること。
往々にしてストッパーになっているのは自分の思い込みの声だけであること。
そして実は似たような経験を何回かしたことを思い出します。
「留学なんてできる身分じゃない」
「素敵なパートナーなんて出会えるような女じゃない」
「起業なんてできる能力はない」
そんな思い込みに気づいて、一つずつ向き合って外せば、青い鳥はきっとすぐそばにいる。
気づけば書籍もこんなにたくさん出させていただいています。