「Hi-Fi RUSH」プレイ感想
※本記事は一部「Hi-Fi RUSH」のネタバレを含みます。
ようやくプレイできた!
PS5版「Hi-Fi RUSH」をプレイ。
10時間程でストーリークリアまで到達しました。
まだまだやり込み要素があるようですが、この時点で一度感想記事を。
万人におすすめ出来るアクションゲーム
めちゃくちゃ面白いです。
面白いだけじゃなく、万人におすすめ出来るゲームだなとも思いました。
人懐っこいグラフィック、明るい雰囲気や音楽、癖になること間違いなしのアクションが揃っています。
プレイするか迷ってるという人は是非遊んでほしい。
フォトモードもあるよ!
作品のテーマ
ロックミュージック ✕ アクションゲームである「Hi-Fi RUSH」は、ゲームのシステムとして「ロックミュージックのビートに乗る」という要素が肝となっている。
とともに、作品のテーマにもロックの精神が反映されている。
それがとても良かった。
ロックミュージックはルーツとして支配への抵抗とか反体制といった文化を持っている。
「Hi-Fi RUSH」のストーリーはまさに反体制、巨大悪徳企業に挑む、負け犬の物語である。
また、ロックのトラディショナルなテーマとして存在する「落ちこぼれの自分から、自分からも他者からも認められる自分になる」という自己実現のプロセス…のようなものがストーリーに織り込まれているのも良かった。
愛すべきキャラクター達
主人公のチャイがとにかく気持ちの良いキャラクターをしている。
根拠の無い自信に満ち溢れ、基本的にノープラン。
それでも持ち前のアクティブさで周囲を引っ張っていく存在だ。
日本語版の音声を担当している下野紘さんの演技が素晴らしい。
チャイの持つ能天気さ、純真さを最大限に引き出し、とても好感の持てる主人公像を確立していると思う。
そんなチャイをサポートするペパーミント、マカロン、CNMN、それから……の存在も忘れてはいけない。
チームの良心マカロンはさておき、それぞれ固有のバックボーンを持つ彼らは非常に個性的で、互いに好き勝手に言い合う場面も。
一見まとまりの無いチームだが、ストーリーが進んでいくと…。
チャイと共鳴し、互いに影響を与え合うペパーミント。
チャイに触発され、企業奪還の為動き出すマカロン。
そして皮肉めいた発言ばかりだったCNMNも終盤には…。
目を引くデザイン、セリフの掛け合い、成長物語…とキャラクターの魅力も本作では炸裂しています。
相棒の"808"
本作のマスコットキャラクターと呼ぶべきキャラクターが猫型ロボットの808(ヤオヤ)。
猫らしい仕草を見せたかと思えば、ビートに合わせてエアギターを披露したりと、ユニークで可愛らしいキャラクター。
元ネタは言うまでもなくRoland社のリズムマシン、「TR-808」。
彼女がなにかアクションする度に、TR-808(と思しき)サウンドが鳴るのが良かったです。
思わず全身を動かしてしまう?アクション
このゲームにおけるアクションは、とにかくBGMのビートに合わせて操作を行うことに徹底したデザインがなされています。
ビートを感じて、リズムに合わせてボタンの入力を行う…プレイしていると自然にリズムパターンを口ずさんだり、ステップを踏んだり、果ては全身を動かしてしまうと思います。
思えば、こんなにアクションゲームに夢中になったのはいつぶりだろう…。
また、操作すべてに様々なSEが発生する(チャイの足音、オーディエンスのコールやギターのチョーキングなど…)ので、自分がまるでバンドメンバーの一員となって、ゲーム中のBGMとセッションする…という感覚が味わえる。
難易度について
設定されている難易度は5段階。
イージー、ノーマル、ハード、ベリーハード、リズムマスターといった幅広いラインナップ。
ノーマルで遊びましたが、ちょうど良い具合に楽しめました。
戦闘には歯応えがあったし、リズムに乗って気持ちよくプレイ出来たときの快感たるや。
ボス戦ではGAME OVERになることもままありましたが、リトライも手軽に出来るので安心。
アクションゲーム下手としては、聞いただけで悪寒のする「パリィ」の要素もありましたが、このゲームの場合はビートやBGMのフレーズに合わせてボタンの入力が出来れば簡単に成功します。
ビートに合わせて行動しているのはプレイヤーだけではなく、エネミーも同じ。
観察眼だけではなく、聴覚を頼りに攻撃を弾き返しましょう。
ロックミュージックとの親和性
アクションゲームとリズムゲームを掛け合わせるのにあたって、BGMのカラーは最重要とも言えるポイントだ。
本作をプレイして、そのフォーマットに、ロックというジャンル以上に相応しいものは無いと思った。
力強いビートやシンプルなパターンは、リズムに合わせて操作をするという仕様にうってつけだ。
明るく颯爽とした曲調は、プレイに爽快感を与えてくれる。
そして何より、懐の深さ。
ロックにおいて、多少リズムからズレたフレーズを奏でることは大した問題ではない。
例えば一般的なリズムゲームで、テクノなどの打ち込みがベースとなる音楽に合わせてプレイするとなった場合、優先されるものは何より正確さだろう。
わずかなズレでさえ、プレイヤーは「ミスした」という感覚を覚えるはずだ。
しかし本作で何より大事なのはノリの良さ。
ジャストタイミングで操作することが目的ではなく、ビートに乗ってアクションを繰り出すこと。
プレイヤーに爽快感を損なうことなく遊べるリズムアクションゲームを提供する…そのBGMとしてロックミュージックが採用されているのは、ジャンルが持つ寛容さ、親しみやすさに拠る部分が大きいように思う。
本作の要、サウンドトラック
本項目はストーリー展開にも言及するので未プレイの方は閲覧注意。
肝心要のBGMがとにかく素晴らしい。
サブスク等でサウンドトラックが聴けるようだが、是非ゲーム中で味わってほしい。
ほとんどがオルタナティブロックやパワーポップをベースにしたものだが、中にはシンセやビッグバンドを取り入れたものもあってバラエティ豊かな印象だ。
他ジャンルとの融合が比較的容易なのもロックの懐の深さであり、このゲームにもたらした恩恵のひとつと言えるだろう。
また、既存のアーティストの楽曲も恐ろしい程にゲームの演出にマッチしていた。
印象に残った楽曲を、ストーリーの展開やシーンに合わせていくつか紹介したい。
「Lonely Boy」The Black Keys
オープニングに採用されたのが「Lonely Boy」。物語の幕開けを演出しているだけでなく、チャイのキャラクターともシンクロしているのが良い。
ロックに惹かれる人って、たぶん陽の当たる場所にいる人間じゃない。
はみ出しもの、周囲に馴染めない人間の支えだったり、救いになってくれるのがロックという音楽なんだと思います。
「INAZAWA CHAINSAW」NUMBER GIRL
テンポが一定でないこの曲をチョイスする制作陣よ。
唯一の邦ミュージシャンの楽曲という点でもそうですが、色んな意味で異彩を放っていた「INAZAWA CHAINSAW」。
使用されているシチュエーションには最高にマッチしていましたね。
逃走劇のバタバタ感というか…スリルの演出にはこれ以上なく適任でした。
Security Shutdown
コルシカ管轄のステージで使用されているオリジナル楽曲。
コルシカの性格を反映したようなシンセのフレーズ…いや、近未来的なセキュリティ部門の雰囲気を演出しているのか。
戦闘時に参加するタンバリンが最高。
禁欲からの解放というか…派手にやろうぜ!という感じ。
Through the Halls of History
ミモザ管轄のステージで使用されているオリジナル楽曲。
ペルソナ5のパレス進入時に使用されてそ〜なトラック。
ジャズ、ビッグバンド的なアプローチの楽曲で、コンガがスパイミッションっぽい雰囲気をガンガンに高めてくれる…けどやっぱり戦闘時は力強いビート、そんな印象。
Reflection
ハーモニックフォースフィールドから脱出する場面で使用されたオリジナル楽曲。
楽曲が…というより演出が素晴らしい。
ギターを爪弾くようなQTE、感じるのはチャイのハートビート…。
Dual Senseの振動も一体となってシーンを演出していました。
「Whirring」The Joy Formidable
ケールを追う、「Track 11:The Needle Drop」で使用された楽曲。
このエピソードは入りから演出が素晴らし過ぎて泣きました。
「Hi-Fi RUSH」遊び始めたときはまさかプレイ中に泣けるゲームだとは思わなかったよ!
苦境を乗り越え、どこか吹っ切れた感のあるチームのムードにマッチしていた印象。
そしてクライマックスよ。
CNMNの活躍、エネルギー砲照射に合わせたQTE、画面が白むほどの爆発とともに響く楽曲の轟音フェード…。
ラスボス戦手前なのに盛り上がりは最高潮。
「Honestly」Zwan
エンディングに採用された「Honestly」。
見栄っ張りなチャイのキャラクターを散々見せられた後に「正直言うとさ」なんてタイトルは反則じゃない?
スマパンみたいなボーカルだなと思ってたら、Zwanはビリー・コーガンのバンドなんですね。
風通しの良い、カラッとした感じの楽曲。
プレイを終えたプレイヤーを労うかのよう。
おわりに
PS5版がリリースされて本当に良かった。
ようやくプレイ出来ました。
関わったすべてのスタッフに感謝したい。
次回作があったら是非!プレイしたい。
今回の記事は以上です。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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