【鬼滅の刃経営考察】(前編)僕らはみんな冨岡義勇~わかりにくさが職場で生み出すもの~
まずいきなり、筆者の主張を書かせてください。
「僕らはみんな冨岡義勇ではないだろうか」
以下解説していきますので、お付き合いいただければ嬉しく思います。
筆者の結論からいきなり言いますと、以下になります🌊
私達は、冨岡義勇の不器用さ、わかりづらさに、くすりときてしまいますが、
多かれ少なかれ、私達自身も、同様のわかりづらさを抱えているのではないでしょうか。
また、この分かりづらさが、私達の職場で色々な影響を及ぼしているのではないでしょうか。
これはどういうことなのか?
では、以下ご覧ください。
🌻【悲報】そもそも、私達、日本人は、「分かりづらい」らしい
実は、そもそも、私達日本人は、曖昧で、わかりづらい国民性なようです。
INSEAD(※1)客員教授のエリン・メイヤー氏(※2)の「異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養」という本において、
各国の違いについて、比較分析をしています。
著書の中では、8つの領域において各国を比較分析していますが(我々日本人の傾向が分かるという意味で、大変に面白い本なので、もしご関心あれば書籍にてお読みくださいませ)、その中で今回は、「コミュニケーション」の領域に着目しましょう。
エリン・メイヤー氏は、「コミュニケーション」について、ハイコンテクスト・ローコンテクスト、という軸で分析しています。
コンテクストは、「文脈・背景」といった意味です。
ハイコンテクストとは、「すべてを言葉にせずとも分かり合うことが良いコミュニケーションだ」とされているコミュニケーションスタイルあるいは考え方のことです。
ローコンテクストとは、「シンプルで、明快で、曖昧さがないことが良いコミュニケーションだ」とされているコミュニケーションスタイルあるいは考え方、のことです。
つまり、
ハイコンテクストでは、言外のものを読むことが多く、曖昧な表現を好み、
ローコンテクストでは、言葉そのものから判断することが多く、直接的な表現を好む、ということになります。
さて、この本において、もっともハイコンテクストな国とされたのは、どこでしょうか?
もうお分かりですね。
そうです、日本です。
我々日本人は、世界で、最もあいまいで、間接的で、空気を読む、ハイコンテクストな民族なようです。(ちなみに、最もローコンテクストな国はアメリカです)
🌻なんで私達日本人は分かりづらいの?
私達日本人が、「分かりづらい」という国民性を持っているということ。
これは、同じ文化圏の日本にいるとなかなかピンときませんが、海外にしばらく過ごすと、実感として気づくことのようにも感じます。
当研究会の筆者陣の中には、海外駐在員として数年を過ごした者も含まれています。
実際に、海外においては日本の当たり前が通じず、駐在後1~2年は、ひたすらに
「言わなきゃわからない、通じない」
「考えていることが分からないと周囲の現地のスタッフから毎日のように言われる」
という日々を過ごしたそうです。
エリン・メイヤー氏は上記著書の中で、このようなハイコンテクスト、ローコンテクストの国民性の違いには、
・長い間共有してきた歴史があるかどうか
・単一民族かどうか
・その国の地理的状況
が影響すると述べています。
すなわち日本は、
天皇制というひとつなぎで語れる二千数百年の歴史があり(所説ありますが)、
基本的には単一民族であり、
海で国境が分かれているという島国です。
(国境が全て海で分かれているって日本人には当たり前のようでいて、実は世界では珍しいですよね)
上記の背景から、日本には、同一の歴史や考え方が浸透していく余地が十分にあったということでしょう。
一方、
最もローコンテキストとされるアメリカはどうでしょうか。
コロンブスに代表されるヨーロッパの開拓者がアメリカ大陸に到着したのが西暦1500年頃。
なので、最長で500年程の歴史ですね。
そして、ご存じのように、人種のるつぼといわれるアメリカでは、様々な文化的背景を持った人たちが住んでいます。
イギリス系、ドイツ系、イタリア系、スペイン系、ラテン系、アフリカ系等々・・・いり乱れているわけです。
「それは当たり前だろ!」「言わなくても分かるだろ!」ということが通用しないわけです。有名な歌詞ではありませんが、「育ってきた環境が違うから~」なわけです。すっごく違うわけです。
たしかにアメリカのような環境では、
「曖昧さを排してきちんと伝えるべき」
「伝えない方が悪い」
という考え方になるであろうことも納得ではないでしょうか。
上記の本に触れて、ふと思いましたが、
確かに日本では、「背中で語る」、「阿吽の呼吸」、「一を聞いて十を知る」という言葉が、美しいもの、良いものとして、語られていますよね。
つまりこれは、「言わないでも通じ合うことが最上概念である」という価値観です。
筆者自身も、職人さんが背中で語る、、、みたいなことは美しいこととして好きなのですが、これは、同じ文化圏を共有している人でないと通じないだろうな、と思います。
日本人の海外駐在員で、
「俺は背中で語る・・・いつか分かってくれるはず」
というマネジメントスタイルを貫いた結果、部下のナショナルスタッフの方達がどんどん辞めていく、、、なんてことも、実際に聞く話です。
上記のようなハイコンテクスト、ローコンテクストは、どちらが良い悪い、という話ではないでしょう。
それぞれの歴史に根付くもので、どちらも尊いものだと考えます。
一方で、
国によって様々な価値観があるということ、
自分と異なる価値観が世の中に存在しているということ、
我々日本人は、実は冨岡義勇のようにわかりづらいのかもしれない・・・、
ということは、知っておく必要があるでしょう。
🌻日本にずっといる私達も、他人事ではない。(職場における冨岡義勇状態)
ここまで読んでいただいて、
「ずっと日本にいるし、海外行かないから関係ないよね?」
という意見もおありではないでしょうか。
これに対して、筆者は、日本にずっといるとしても、決して無関係ではないと、考えます。
同じ日本の中でも、考え方の違いから、相手に伝えることができていない、わかりづらい、
すなわち、「冨岡義勇状態」になっていることが、実は多くあるのではないでしょうか。
分かりやすいのは、ジェネレーションギャップ、でしょうか。
バブル世代、氷河期世代、ゆとり世代、さとり世代等々…と言いますが、この世代間においても、かなり価値観に違いがありそうですよね。
●夜中までかかってでも、仕事はやり遂げるものだ。
●上司が飲みに行くといったら、一緒に行くものだ。(→コロナで消滅した考え方ですかね・・・)
●仕事には情熱を注ぐものだ。
●同じ会社にずっと働き続けるべきだ。転職するのは良くないこと。
等々…、あなたはどう思いますか?
昔は当たり前でしたが、今は当たり前でない価値観もたくさんありそうです。
みなさん、自分と一回り、二回り違う世代の方々と、「阿吽の呼吸」、できていますか?
結構、難しい場合もあるのではないでしょうか。
また、上司部下の間では、いかがでしょうか。
皆さんが部下を持つ方だとして、ご自分と部下の関係性を考えながら、以下の胡蝶さんと義勇さんのやりとりを、改めて、見てみてください。
胡蝶さん「そんなだから みんなに嫌われるんですよ」
義勇さん「俺は 嫌われていない」
胡蝶さん「あぁそれ… すみません 嫌われている自覚が無かったんですね」
どうでしょう。上司部下バージョンも創ってみました。
会議室に入ろうとして、中から笑い声が聞こえてくる。
部下「そんなだから Aさんって、みんなに嫌われてるんですよね~」
Aは、ドアノブを回そうとした手を瞬間的に止めた。
上司(Aさん)「俺は…嫌われて…」
部下「Aさんって、嫌われている自覚、無さそうですよね~」
ああ、可哀想に 可哀想に ジャリジャリ(自分で書いていて、胸が痛くなってきました・・・)
どうでしょう、職場で、こんな冨岡義勇状態が起きていないと言い切れますか?
(あんまりこれ、連呼するの、義勇さんに悪く思えてきました…義勇さんは男気と情のある素晴らしい方ですよ!ねぇ!)
筆者は、「自分は絶対に大丈夫!」というよりも、
「もしかしたら、自分も同じようなことを起こしているかも」
という姿勢の方が健全だと、考えています。
また、その姿勢の方が、万が一何かが起きかけた際に、すぐ気づけるのではないでしょうか。
これは、「人の話を聞く」、という行為と似ているかもしれません。
「自分は100%相手の話を聞けている」と思った瞬間に、聞こえなくなるもの、失うもの、手の平から零れ落ちるものがあるのではないでしょうか。
🌻では、どうしたらいいの?
さて、ここまでは、我々日本人は国民性として分かりづらいという特徴がある。
これはあくまで特徴であり良いも悪いもないが、その特徴があるということを、私達は認識する必要があるだろう。
日本にずっといるとしても、日々の職場の上司部下の間、あるいは世代間において、周囲に伝えきれていない、わかりづらいという、「冨岡義勇状態」を、我々は日々起こしているかもしれません。。。
ということを書いてきました。
そこまで分かったところで。
では、どうしたらいいのでしょうか。
これについても、私達の心のバイブルたる鬼滅の刃の登場人物から【伝え方の極意を】学んでみようではないでしょうか!
といったところで、少々長くなりましたので、続きは後編に譲りたいと思います。
後編はこちら
※1 INSEAD(インシアード) : フィナンシャルタイムズ紙が選ぶグローバルMBAランキングで、2016年、2017年と首位を獲得したビジネススクールです。フランス、シンガポール、アブダビに拠点があります。2020年のランキングでは4位になっているようですね。
※2 エリン・メイヤー氏 : 異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門とされた方です。世界で最も注目すべき経営思想家のひとりとして、「Thinker50」などで紹介されている方です。
🌻【最後に】
最後まで読んでいただきありがとうございました😍
貴重な時間を頂き、本当にありがとうございます🤣
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今後も有益な記事を書いていきますので、どうぞよろしくお願いします🤲
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