久々に感動して泣いてしまったアニメ(ネタバレ注意)
今日は、最近感動したことがあって書かずにはいられないので、中国の話ではないことを書きます。
昨日、たまたま撮りためていたアニメ、『ONE PIECE』の最新5話分を一気に視聴しました。(アニメ1121話と1122話の話を書いているので、ネタバレが嫌なかたはお気をつけください。)
『ONE PIECE』は私が小学生の頃からやっているアニメです。同世代の人はみんなそうだと思いますが、自分の成長と共にずっと寄り添って走り続けてきたような、ある種の仲間のような、そんなアニメ(漫画)です。
特に私は大学で、『ONE PIECE』と老子を掛け合わせ、「老子の考え方からルフィのリーダー論を読み解く」というテーマで卒論を手掛けましたので、とても思い入れがあります。格別好きな漫画でもなかったのですが、かえってそれが冷静に分析できるポイントになって良かったのかもしれません。
それはさておき、『ONE PIECE』は話が長すぎるということで、私と同世代の人たちはこの歳になると離れていってしまうか、熱心に追いかけているかどちらかに分かれると思います。私は、ダラダラと惰性で見続けているタイプです。卒論でもお世話になったし、最後まで見届けるか、という気持ちで。
それで、最新話を見ていたのですが、まあ、流石に私も「長いなあ」と思いながらダラダラと見ていたわけです。
しかし、1121話と1122話だけは、違いました。いや、私だけでなく多分アニメスタッフの力の入れようが違うと絵を見ただけでわかりました。
話としては、海賊島でガープとコビーが活躍する話です。ここでガープは致命傷を負ってしまいますが、ガープに代わって、コビーが海賊ピサロの攻撃から民間人と仲間の海兵たちを守ります。
その話がとにかくとても良くて、泣きました。
久々に感動したアニメでした。
コビーは昔はちんちくりんで、ルフィに憧れるだけの存在でした。
読者が『ONE PIECE』の世界に入りやすくするための、代弁者的な存在でした。強さは多分、当時のウソップよりもずっと弱かったと思います。
しかし、海軍に入隊してしばらくすると、コビーはシュッとした爽やか男子になりました。
それでも、強さはルフィにかなわず、私の中ではそこまで注目する存在ではありませんでした。
そんなコビーが、今回様々な葛藤や自分の弱さを乗り越えて、ガープ並みの鉄拳で民間人と海兵仲間を守ります。
このコビーの葛藤や弱さですが、アニメの演出の仕方がとてもこだわっていて秀逸でした。
仲間と民間人を乗せた船が海賊ピサロの手で押し潰されてしまう未来を予想してしまうのですが、白黒のぼんやりした絵で描かれます。
声も、かつて弱かった頃のコビーの声のように頼りなくなっていきます。
しかし、ガープの言葉が聞こえると、一気にカラフルな現実に戻されて、ハッと引き締まる。
いろいろなネガティブな声も聞こえてきます。敵ピサロの「どうせできるわけがない」というような言葉から、コビー自身の「僕のせいで…」「何も守れないじゃないか」という言葉まで。
しかし、そんなネガティブな言葉を打ち消すために、コビーが血のにじむような努力を重ねてきたことをガープは知っています。
コビーが、「僕は戦いの才能がないから、人の10倍、いや、百倍努力しないといけない」と、手に包帯を巻きながら努力してきた過去を回想するシーンが、何回も登場します。
漫画としてはこの辺りどのように描かれていたのかはわかりませんが、昔を何回も回想するシーンを見ると、コビーがいかに努力してきたのかがわかります。それはもう、『ONE PIECE』のキャラクターの中で彼ほど努力してきた人はいないのではないかと思うほどです。
コビーというキャラクターは、外見こそ変わりましたが、中身はやっぱり当時のままなのなのかなと思います。それは、良い意味で。「海軍に入って、悪いやつをやっつけて正義のためにみんなを守りたい」という、そんな純粋な気持ちをいつまでも持ち続けて、それを実現していったキャラクターという感じがします。
普通、大人になってしまうと子どもの頃の夢や信念を諦めて、楽な方へ流されていったりしてしまうことも多いかと思います。しかし、コビーはそうはなりませんでした。
何もできないからこそ、努力する、それも人一倍、いや10倍、100倍、手から血が出ても、骨が折れても、仲間が止めに入っても努力し続けました。この辺はリアルに実践したら怪我したり、病気になったりしそうなので、鵜呑みにするのは危険ですけれど、でも何でも通じることなのではないかと思います。
ルフィと違って、コビーは快活に問題を処理できるキャラクターではありません。しかし、弱さを知っているからこそ、その弱さを克服するために、人の百倍努力してきましたし、人一倍の純粋さや夢をもっているからこそ、困難を乗り越えられるだけの強さを身に付けることができたと思います。純粋さだけでいえば、ルフィと同等のレベルかもしれません。
だからこそ、「海兵として人々の未来を守る」という信念を貫くことができたのだなあと、しみじみと実感しました。
この辺りのことは、生徒たちにも伝えていきたい内容です。
生徒によっては、家庭の問題があったり、個人の持っている能力の問題があったりして、なかなか思うように努力できず、楽な方へ流され勝ちだと思うのですが、やはり努力はすべてのネガティブを払いのけて真の英雄になねるのだ、ということを伝えられると思います。
コビーの修行の成果ともいえる鉄拳で敵の攻撃を打ち砕いた後は、ヘルメッポと一緒に泣きました。昔のちんちくりんだったコビーを知っているのはヘルメッポも読者である我々も一緒です。
「コビー、お前良くやったよ」
と、誰もが思わずにはいられないシーンです。
ガープの講義もなかなか面白かったですし、ハッとさせられました。「お前ら、何を守るために海兵になった?」とコビーを含め、若い海兵たちに聞くシーンが何回も登場します。この答えは、「人の未来を守るため」なのですが、これは教員としてもハッとさせられる問答でした。いろいろと問題山積みで、文句をいいたくなることが多い教育現場ですが、私たちも結局子どもの未来を守るために仕事してるんだよなと、改めて思わされました。そこを忘れてはいけないなと、身の引き締まる思いがしました。
今回の『ONE PIECE』、とにかく感動しました。
自分の弱さを打ち消すには努力しかないと、こんなに純粋で、爽やかなメッセージが伝わるアニメを久しぶりに見た気がします。
もし自分が担任を持ったら、教室にこの漫画を掲示したいと思うくらいでした(物理的に無理かもしれませんけれど)。
『ONE PIECE』は長いけれど、やっぱりこういう話があると止められないなあと、思うのでした。
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