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これだけは無理と思った食材

 中国人の夫は、たまにアジア系の食材を売っているお店で特殊な食材を買います。

 羊の肉や豚足、ナツメ、キクラゲなどが主です。私は基本的には好き嫌いがないので、どれも美味しく食べます。

 結婚したての頃、「もみじ」と呼ばれる鶏の脚を買ってきたことがありました。鶏の脚なので、鉤爪の部分もあるし、爪もちゃんとついています。豚足が大丈夫ですし、過去にはサソリやタツノオトシゴも食べたことがあったので、普通に食べられると思ってチャレンジしましたが、ダメでした。

 「もみじ」は、食べると誰かの手のひらを食べているような感触がありました。手の内側の柔らかい感じや、指の柔らかい肉の感触が、なんだか凄く申し訳ない気持ちになりました。

「普段、牛肉や豚肉、鶏肉を食べているのだから、申し訳ないとか今さらだよ」と夫に言われました。

 しかし、鶏の脚の形はそのまま残っていますし、きれいに食べるにはしゃぶるように食べるしかないのですか、そうすると自分がとても残酷なことをしているような気がしてならなかったのです。

 私がげんなりしていると、夫は「もみじ」を買うのを止めました。
 今でもあの感触を思い出すと、やっぱり申し訳ない気持ちになります。

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