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原発の臨界は危険?安全?『臨界』の本当の意味とは?

原発が「臨界に達した」と聞くと、危険なことが起きていると心配になる方も多いかと思います。

しかし、実際のところ、原発の「臨界」とは発電のために必要な通常の状態のことを指しています。

以下で、臨界とは何かを原発や放射能についても触れながらわかりやすく説明します。

1. 原発とは

原子力発電所、通称「原発」は、原子の力を使って電気を作る施設です。

燃料としてウランなどの核燃料を使い、その核燃料が「核分裂」という反応を起こすときに発生するエネルギーを利用しています。

核分裂が進むと、熱が出るため、その熱で水を蒸気に変え、タービンを回して発電する仕組みです。

2. 放射能とは

放射能とは、原子が壊れたり、変化したりするときにエネルギーが放出される現象のことです。

ウランなどの核燃料が核分裂を起こすとき、放射線と呼ばれるエネルギーも同時に放出されます。

この放射線には体に悪影響を与えるものもあるため、適切に管理しないと危険ですが、原発では厚い壁やさまざまなシステムで放射線を閉じ込め、安全に運転できるようにしています。

3. 臨界とは

「臨界」とは、原子炉内で核分裂が安定して続く状態のことです。核燃料が一定の量を超えたり、特定の配置になったりすると、核分裂が自然に次々と起こるようになり、エネルギーが一定に出続けます。

この状態を「臨界」と呼び、発電のために必要な段階です。

原発はこの「臨界」を維持することで、安定して電力を供給することができます。

4. 危険な臨界と運転上の臨界の違い

臨界には2種類あります。

一つは今回のように発電のために安定してエネルギーを出し続ける「運転上の臨界」、もう一つは核分裂が制御できなくなる「危険な臨界」です。

  • 運転上の臨界:通常の発電のために必要な状態で、原発が計画通りに動いていることを意味します。

  • この状態はきちんと制御されていて、電力を安全に作るために不可欠です。

  • 危険な臨界:核分裂が制御不能になり、エネルギーが急激に出過ぎる状態で、事故や放射線漏れのリスクが伴います。

  • これは通常の運転とは異なる異常事態で、原発ではこうした状態を防ぐために、多くの安全装置が設置されています。

臨界に関するニュースタイトルの補足について

「原発が「臨界」に達した」という見出しでニュース速報をSNSで投稿しているメディアがありますが、「臨界に達した」というニュースの見出しだけでは、誤解してしまう人もいるかもしれません。

臨界には安全な運転状態を意味するものもありますが、ニュースの見出しでは「臨界に達した」という言葉だけで危険な状態を想像させる場合があります。

そのため、誤解を防ぐために「発電に向けた通常運転のための臨界に達した」「運転上の臨界に達した」などと補足を加えると、より正確に伝わりやすくなるでしょう。

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