居残りスターチス
先日1階のトイレに鎮座していたおまるに別れを告げたので、2階も見直すことにした。使用頻度の低い二階のトイレには、子供の手の届かないところに出窓があることもあって、旅行先で買った思い出の置物などをちまちまと並べている。そしてその後ろには何とはなしに置いてあるドライフラワーのスターチスがある。紫だったのか、白だったのか、今やクリーム色に色あせている。
このスターチスは、祖父が亡くなったとき、1階のトイレに飾ってあったものだ。たぶんその1年前に亡くなった祖母が活けたものだろう。15年以上前のドライフラワー。妹がこの家に住んでいたころはトイレの棚に入れられていて、私が住み始めて2階に移した。何度も動かしているので、祖母が活けた面影は残っていないかもしれない。でもこの花瓶を選んで、この花を飾るという選択は、祖母がしたものなのだと思うと、なんとなくうれしくて、なんとなく飾ってある。
などと書いてみたが、飾ってあるというより、置いてあったのだ。
で、捨てちゃおうかなと思って、ああ、15年以上前からあるのか、と思ったら、捨てられなくなってしまった。少なくとも写真と文に残したら、未練がなくなるかと思ったのに、なんだか思い入れが出てきてしまった。
君はもう少し居残りだよ、スターチス。