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事故物件巡り

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2021年9月の記事一覧

事故物件巡りの話【第4話 終の棲家 後日談】

事故物件巡りの話【第4話 終の棲家 後日談】

練炭での一家心中事件があった一軒家の調査を終えた俺は、気が抜けたようになり、この会社で残された日々を淡々と過ごすようになっていた。
社内用LANで送られてくるチャットでは、

「桑津さん、やめちゃうの?困るよー。
 これから誰があのオーナー、相手するの?
 あの人相手できるの、桑津さんしか、
 いなかったのにー。」

とか、

「桑津主任、やめないでくださいよー。
 毎週土曜日に差し入れてくれるお

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事故物件巡りの話【第4話 終の棲家 ④】

事故物件巡りの話【第4話 終の棲家 ④】

事務所に戻った埃まみれの俺を見て、田澤親分は唖然としていた。
施工管理課の親分のシマで今回の顛末を話したら、親分は目を閉じ天を仰いだ。
その後、クソ怒られた。苦笑

親分「だから言うたやろが!!
   無茶しおってからに!!
   お前それ、俗にいうあっちに連れ去ろう
   とされとるやつやないか!
   ほんま、大事ないか?」

いや、親分、ここ喫煙室じゃないよ。苦笑
みんな心配そうに聞いてるし

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事故物件巡りの話【第4話 終の棲家③】

事故物件巡りの話【第4話 終の棲家③】

なかなか震えが止まらなかった。
もしかしたら、目の前にある電信柱に激突していたかもしれないという恐怖だけではなく、何かしら強烈な『悪意』を感じたからだ。
事故物件巡りをしていて、初めて感じた『悪意』。
最後の最後に残ったのは希望なんかでは全くなく、純粋な『悪意』だった。

さすがにこれから現場へと引き返す勇気はなかった。
一旦退くべきだと感じた。
戦略的撤退や、逃げるわけやない。
そうゴチて、ハン

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事故物件巡りの話【第4話 終の棲家②】

事故物件巡りの話【第4話 終の棲家②】

田澤親分とさっきから押し問答をしている。

親分「そやからな、桑っちゃんいや、桑津主任。
   もうそこらへんでやめておいた方が
   いいって。
   ここはな、ほんと薄ら寒い感じが
   するねん、霊感ない、俺でもな。
   10年やぞ、10年。
   俺が来てすぐやから、そんだけ前から今まで
   ずっとクローズにしてる案件なんやぞ?
   それだけ何かしらの力があるっちゅう
   ことや。

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事故物件巡りの話【第4話 終の棲家】

事故物件巡りの話【第4話 終の棲家】

Aブル「あー、あれ、朽木町のっすよねぇ。
    住宅地のど真ん中で小学校とかスーパーも
    近くて超便利なとこですよね。
    あそこ、まだクローズしてるんですか?
    まぁそりゃそうですよね。
    よく前は通りますけど、あそこ、
    いつ行っても、こう、曇りで天気
    悪いイメージなんすよねー。」

また、否定的な意見だな。
これでもう3件目だ。
なんであんな良い家なのに

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事故物件巡りの話【第3話学生寮 前編】

事故物件巡りの話【第3話学生寮 前編】

大阪市内から車を走らせて1時間弱。
目の前にはのどかな田園風景が広がっている。
俺は大都市から離れ、郊外に建てられたとある大学のキャンパスに来ていた。
周りは、山、山、そして山。
山しか見えない。
しかしながら、空気がとてもうまい。心が洗われる。
広大な敷地の中にある陸上トラックで、長距離走の選手だろうか、一心不乱に自己ベスト更新を目指して走りこんでいる学生の様子を俺はさっきからずっと眺めていた。

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事故物件巡りの話【第3話学生寮 後編】

事故物件巡りの話【第3話学生寮 後編】

実は幸田君、洋子さんとお付き合いしていた当初から、よくよく寮に忍び込んで逢瀬を重ねていたのだそうだ。
上田さんも知ってはいたのだが、忍び込むのは上田さんの勤務時間外の話だし幸田君の生真面目な性格もよく知っていたので、そこまで悪影響はないと判断し、特に注意などしていなかったのだという。
しかし、洋子さんとの関係が悪化し疎遠になってから、今度は智子さんの部屋に入り浸るようになったというのだ。

俺 「

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事故物件巡りの話         【第3話 学生寮 】

事故物件巡りの話         【第3話 学生寮 】

大阪市内から車を走らせて1時間弱。
目の前にはのどかな田園風景が広がっている。
俺は大都市から離れ、郊外に建てられたとある大学のキャンパスに来ていた。

周りは、山、山、そして山。
山しか見えない。
しかしながら、空気がとてもうまい。心が洗われる。
広大な敷地の中にある陸上トラックで、長距離走の選手だろうか、一心不乱に自己ベスト更新を目指して走りこんでいる学生の様子を俺はさっきからずっと眺めていた

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事故物件巡りの話【第2話】

事故物件巡りの話【第2話】

(前回までのあらすじ)

外資系損保から一部上場建設会社系列の不動産管理会社に移った俺はリクルーターから聞いていた待遇とかなり異なる業務内容や業務量に困惑を覚えながらも、持ち前の反骨心で精力的に営業し日々オーナーの信頼を勝ち取っていた。
陰湿な上司からモラハラパワハラを受けながらも、同じく冷遇されていた理解ある同僚と充実した社畜ライフを送っていた中、労働契約更新を1か月前に控えたある日、上司の北原

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