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葉桜は嫌いだっていう話

冬が好きだ。
四季の中でいちばん冬が好きだ。
というかむしろ、夏と春がとにかく嫌いなのだ。

そんなわけで一月も終わりに近づき始めると、憂鬱な気分になる。うかうかしているうちに、世間はすぐに春やら夏やらになってしまうじゃないですか。

夏というやつには心の底から滅びてもらいたいと思っているのだが、まあ、春はまだ許せる。許してやってもいい。
なんといっても、春は桜が咲きますからね。
桜。いいですよねえ。
例のウイルスのおかげで今年もお花見は難しいかもしれないけど、それでもそこら中に桜が咲くと気持ちがふわふわして、「ああ・・・桜、すばらしい(=酒が飲みたい)」って心の中で思います。

桜といえば、人によって「蕾がほころび始めた頃がいい」とか「八分咲きがベスト」とかいろいろと好みがありますが、この間、車を運転しながらラジオを聴いてたら、DJの女性が「わたし、葉桜が大好きなんですよ」と言っていて軽く驚いた。そういう人もいるのかと。
ぼくは葉桜ってやつが嫌いというか苦手で。

小学生の時、遠足とかの最後に校長先生が「明日からまた気持ちを引き締めて云々…」的な話をしたりするじゃないですか。社会人になっても、正月休み明け初出社の日の朝礼で、社長が「お屠蘇気分から気持ちを切り替えて云々…」とかさ。
ああいうのが苦手なんですよ。こっちはまだ楽しい気分の余韻に浸ってるのに、怖い顔して「さあおまえら、お楽しみタイムはおしまいだぞ」って宣告される、あの感じが。なんでああいうつまんないことを言うのかね。

なんかこう、葉桜にもアレに似た冷淡さを感じるんです。
生き生きとした緑の若葉を繁らせていく桜の木を見てると、「きみもつい何日か前まであんなに浮かれてたのに、一体どうしちゃったんだよ……」って裏切られたような気持ちになる。できることなら死ぬまで毎日ずっとお楽しみタイムが続いてほしい(笑)。春はぜんぜん好きじゃないけど、桜は一年中満開に咲いててもいいな。

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