白黒に見えて欲しかった
お風呂の中で迎える2時間ぶりの希死念慮との再会。
前に進みたい訳でもないのに背中を押してくる焦燥感は、お昼に飲んだカフェインのせいだと信じていたい。
薬はだんだん効かなくなってきているのか、不安感は無くなったが希死念慮が私をずっと包んでいる。
恋人との会話も虚ろなものに見えてきてしまって、もうこれまでなんだろうかと感じている。
ODをしてからは幸せを感じにくくなってきた。何が幸せなのか、いっそう分からなくなってきている。
外の陽射しに照らされた部屋でゆったりと本を読むこと、昔はあんなに素敵なことに思えたのに。今じゃもう、ひとつも心が動かない。
“ODなんてしなければ良かった”……毎日の様にそう思う。けれど、もう戻ることは出来ない。まともな脳には治らない。
この壊れた脳と生きていかなければならないのだ。
あんなに綺麗に見えた世界は、今や白黒でも変わりゃしない。
白黒に見えた方が、いっそ良かったのかもしれないな。
けれど、明日を生きるために今日もまたお風呂に入って、髪を乾かして、顔のケアをして。
何も無い、この虚ろな世界を明日も生きようと早めに眠るのだ。
生きる希望は特にないけれど、あの子のために生きてみようと……そう思うのだ。