ね、そうでしょ
遠くに消えていった音も言葉も、もうとうに私の手には触れられなくなっている。それに気付くことは出来ないはずなのに、どうして私は知覚しているの?
とにかく今は何も考えないことで、ただ文字を眺めることと言葉を紡いで行くこと。それさえあれば私は大丈夫だと思うの。そう信じて今日も生きるから、どうか許してね。
「文芸もろくに出来ないくせに」
「絵だって出来ないのね」
「可愛くなれないくせに」
「なりたい姿すら分からないのね」
脳内に巡る声。幻聴なんかじゃない、私の意識によって鳴る声。私自身の考え、いや、もしかしたら“可哀想になりたい”の現れかもしれない。愛されたいだけだと理解していても、その方法に納得がいかないから、自分の脳を痛めつける。
そんなことにリソース割いてたってしょうがないでしょう。と、そんなことは分かっているから。