2021年10月の読書録
『NFT 完全初心者への徹底解説』
去年からキーワードとしてよく耳にするようになったNFT。なんとなく誰にでも一攫千金の夢があるイメージしかなかったが、実際何なのかと思い本書を読んでみた。一番印象的だったのは、実はすでに結構レッドオーシャンというか、現在人気があるのはエミネムみたいな有名人の作品やNBA公式のトレカみたいな、ある程度現実世界でネームバリューのあるものばかり。流通の多くを占めるその他一般の人の作品は、ほとんど値がつかない状態らしい。YouTuberと近い構図なのである。
『モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの才能の伸ばし方』
「子どもの才能の伸ばし方」と書いてあったら気になってしまう親は多いと思う。しかし自分の場合はモンテッソーリのメソッドよりも、今後意識しようと思ったエッセンスは①好奇心を持たせるあらゆる刺激を与えてよく観察すること。②子どもの内面から出てくる欲求を押さえつけず、素直に従わせること。③どんな結果でもまず肯定し、認めてあげること。の3つだ。いや、数字の順に難易度が高くなって全部出来たらベストだけど、まあ極力頑張れるように意識したい。
『教養として学んでおきたい 仏教』
自分も仏教とは所謂「葬式仏教」としての関わりしかない。本書を読むまで、確かにかねてからブッダについて見聞きした印象と、今の実家の仏壇と神棚が並んでる風景とは、同じ仏教の括りをされるのは難しいほど乖離があった。しかしそれは日本に伝来するまでに中国で洗練され、伝来してからも土着の神道と結びついたことで、神道でカバーできない概念を仏教が補完してるので、今日まで定着したというのがとても分かりやすかった。
そんな現代の日本において、家族葬などいろんなスタイルが出て来ている。ほんの数十年前まで仏教に求められていたような死者への弔いや死後の救いが、今は本書でも述べられているように、今現在で生き方に迷う人たちを救うような立ち位置が仏教には求められていくのではないか。特に唯識とか、ブッダの教えを歴々の人たちが考えてそれぞれの解釈で実践していったものに僕も興味がある。
『果報をさがして: 沖縄移住記 』
北海道出身の著者が沖縄へ移住した生活を綴るエッセイ。「沖縄」「移住記」だと本来はFIRE的な意識高いノウハウ本のような響きがあるけど、「果報」のルビを打った不思議な響きと落ち着いたカバー写真に、そんな浮ついた雰囲気ではないものを感じ取ったので興味を持った。沖縄のいろんな街に住んで仕事や生活をしていくうちに、沖縄という土地や豊かな自然、とりわけ海にどんどん惹かれていくのが、淡々と描かれている。一方でそのその淡々とした語り口にどこか旅人のような根を下ろしている人たちとは違う雰囲気も感じた。沖縄という土地だけではなく、その向こうに自分自身をみているような。思えば自分もそうだ。今まで色んな土地で暮らしたけど、故郷の林の木々を風が揺らす風景とたくさんの葉がなびく音を、それを居間で寝転びながらぼんやり眺める自分と共に、今でも鮮明に思い出す。それぞれの時間で大切な土地に抱かれている自分の姿だ。
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