嫌いな言葉「稲妻が輝く瞬間」
私の嫌いな本にチャールズ・エリスの「敗者のゲーム」があります。何が嫌いかというと、有名な「稲妻が輝く瞬間」の節が大嫌いなのです。
この節では、常にポジションを持ち続けないといけないことについて、「稲妻が輝く瞬間」に市場にいないとリターンが大きく損なわれるからという理由を挙げています。私はこの推論が気に入らないのです。
市場には稀に稲妻が輝く瞬間があり、大きなリターンが得られる
そのような期間の上位を除外すると、かなりリターンが目減りする。
よって、稲妻が輝く瞬間に必ずポジションを持っているべきである。
そのためには常にポジションを維持する必要がある
このような理屈が書かれていますが、これが通るなら逆のことも言えるでしょう。
市場には稀に稲妻に焼かれる瞬間があり、大きな損失をこうむる。
そのような期間の上位を除外すると、かなりリターンが上昇する。
よって、稲妻に焼かれる瞬間は避けなければならない。
そのためには常にポジションを持たない必要がある
すなわち、稲妻が輝く瞬間を逃さないように常にポジションを持つという論理は、稲妻に焼かれる瞬間から逃げるために常にポジションを持たないという論理と同一なわけです。もちろん後者ではリターンを得ることはできませんから、後者の理屈はどこかおかしいわけです。ということは前者も理屈としておかしいのです。
本書で一番のデタラメはこの箇所なんですが、なぜか世の中ではこの節が一番人気なんですよね。不思議ですね。
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