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JW20 家島と国生み
【神武東征編】エピソード20 家島と国生み
狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行は、播磨灘(はりまなだ)の中央に位置する家島諸島(いえしましょとう)に到着した。
![家島到着](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57286671/picture_pc_826d6cda9645678142dcbe22facd80c6.png?width=1200)
ここで、本編の主人公、サノが口を開いた。
サノ「前回の予告通り、家島(いえしま)に着いたぞ! 兵庫県姫路市に編入されている島じゃ。」
三兄の三毛入野命(みけいりの・のみこと)(以下、ミケ)が合いの手を入れる。
ミケ「伝承では、嵐に遭遇して、難を逃れるために立ち寄ったみたいやな。」
サノ「では、嵐が来るのを待ちまするか?」
ミケ「だ・・・大丈夫っちゃ。もう、嵐はコリゴリっちゃ。」
そのとき、目の周りに入れ墨をした大久米命(おおくめ・のみこと)が説明を始めた。
大久米(おおくめ)「この島には、現在、家島神社(いえしまじんじゃ)があるっす。我(わ)が君(きみ)が、武運長久(ぶうんちょうきゅう)と航海の安全を祈願して、天津神(あまつかみ)を祀ったことが由来っすね。」
サノ「天津神?」
大久米(おおくめ)「またまた、知ってるのに~。高天原(たかまのはら)におわします、神々のことっすよ。」
サノ「読者のためじゃ。許せ。」
![家島神社1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287224/picture_pc_6fc40132abedf5ed4dccc71f990cd929.png?width=1200)
![家島神社2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287228/picture_pc_326ccdddad68ecdd56e33f11cd33ddff.png?width=1200)
![家島神社3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287239/picture_pc_e7aa033475315fc05384d2658d443a73.png?width=1200)
![家島神社4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287246/picture_pc_399125bd22e339ca1f10ebb6d687aea7.png?width=1200)
![家島神社5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287256/picture_pc_619e6906fed7ef2d9fc5f0ed5c1dc5e3.png?width=1200)
![家島神社鳥居](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287267/picture_pc_b5b7a5740814b863f2e6c7eb92602d4f.png?width=1200)
![家島神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287290/picture_pc_1d218d5af6ae3459b79c574c0e7e8cb8.png?width=1200)
大久米(おおくめ)「あと、この神社の由緒書によると、家島と名付けたのは、我が君みたいっす。こちらを御覧ください。」
<港内が風波穏やかで、あたかも我が家のように静かであったので「いえしま」と名付けられた>
サノ「そうそう、我が命名したのじゃ。島の人は、覚えていてくれたのじゃなぁ。」
ここで、博学の天種子命(あまのたね・のみこと)が補足説明を始めた。
天種子(あまのたね)「家島の港は、深く入り込んだ湾で、水深もありますよって、船をつなぎ留めるには、絶好の場所にあらしゃいます。天然の良港ですなあ。嵐に遭わんでも、立ち寄ったと思います。」
ミケ「明石海峡(あかしかいきょう)に向けて、船団を整えるためやな?」
![家島と明石海峡](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287437/picture_pc_22395bb28a0faaaa6246a6f85d0ded3d.png?width=1200)
天種子(あまのたね)「さすがはミケ様! そういう軍事的理由もあったでしょうな。家島神社がある場所も、天神鼻(てんじんばな)という岬で、明石海峡に通ずる、海の静けさと厳しさの狭間(はざま)のようなところなので、その解釈は素晴らしいですぞ。」
![天神鼻](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287634/picture_pc_4e62a84b3dec7e165bdf1b92ef86291b.png?width=1200)
そこへ、小柄な剣根(つるぎね)が乱入してきた。
剣根(つるぎね)「ちなみに、島の人は、家島のことを『えじま』と呼んでおりまする。」
サノ「どういうことじゃ? わざわざ『い』だけを省略したのか?」
剣根(つるぎね)「この島の伝承で、家島は国生み神話にも深い関りがあるとか・・・。」
サノ「なっ!? 国生みっ!?」
剣根(つるぎね)「ただ『い』を省略したのではなく、もともと胞島(えじま)と呼ばれていたとか・・・。」
天種子(あまのたね)「どういうことにあらしゃいます?」
剣根(つるぎね)「国生み神話の個所で『日本書紀(にほんしょき)』の一説に、磤馭慮島(おのごろじま)を以(も)ちて、胞(え)と為(な)し・・・という記載があるのですが、その胞(え)こそ、この胞島(えじま)なのです。」
サノ「おい、剣根よ。説明のようで、説明になっておらぬ。オノゴロ島が何なのか。胞(え)とは何なのか。ちゃんと言わねば、読者は全く意味が分からぬであろう?!」
剣根(つるぎね)「いや、我が君・・・。これには順序というものがありまして・・・。」
サノ「順序が必要なのか?」
剣根(つるぎね)「オノゴロ島とは、国生みで伊弉諾尊(いざなぎ・のみこと)と伊弉冉尊(いざなみ・のみこと)が、一発目に生んだ島にござりまする。」
![国生み](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57287716/picture_pc_4980ca73a26274071d8e219f80423757.png)
サノ「一発目?」
剣根(つるぎね)「そのオノゴロ島を胞(え)と呼んでいるのが、最初に説明した『日本書紀』の記述にござりまする。ちなみに、胞とは、胎児を覆う膜のことですな。転じて、兄という意味とされておりまする。」
サノ「まあ、そういう理由で、胞島(えじま)と呼ばれておるのじゃな。」
剣根(つるぎね)「左様にござりまする。」
サノ「しかし、なにゆえ、転じて兄となるのじゃ?」
剣根(つるぎね)「兄も『え』と呼びまする。中大兄皇子(なかのおおえ・のみこ)など・・・。そういう理由にござりまする。」
サノ「まだ生まれてない者を参考にするでないっ。」
剣根(つるぎね)「まあまあ、その辺はともかく、国生み神話の伝承は、昔から語り継がれていたようですぞ。」
ミケ「家島の隣にある西島(にしじま)の山頂には、イザナギ尊とイザナミ尊が建てた『天(あま)の御柱(みはしら)』といわれる大岩もあるみたいやしな。」
剣根(つるぎね)「その通りですぞ! 頂上岩(ちょうじょういわ)や、てっぺん石、コウナイの石などともいわれている大岩にござりまするが、そういう見方もあるようですな。」
![天の御柱1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57288194/picture_pc_ce6f0efe716655be257e4b2550c53265.png?width=1200)
![天の御柱2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57288382/picture_pc_b33f1fa70ccd731a0b5ea69e5081e1bc.png?width=1200)
![天の御柱3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57288533/picture_pc_1c2087ca237dd47cb0357ca371763cb3.png?width=1200)
![天の御柱遠景](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57288786/picture_pc_340d37135ed2071aeaf8c24bf39ea4ab.png?width=1200)
![天の御柱近景](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57288796/picture_pc_c838882b5d79c0f45aa6325173f19497.png)
そのとき、筋肉隆々の日臣命(ひのおみ・のみこと)が自慢気に語ってきた。
日臣(ひのおみ)「剣根よ! 家島の真浦港(まうらこう)にある大岩は知っちょるか?」
![真浦港にある大岩](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57289342/picture_pc_e8b030af936455b961aa39574e03d889.png?width=1200)
剣根(つるぎね)「ふっ・・・日臣よ。わしが知らぬとでも・・・。」
日臣(ひのおみ)「し・・・知っちょるんか・・・?」
剣根(つるぎね)「亀の形をした大岩・・・その名も『どんがめっさん』にござろう?」
![どんがめっさん](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57289269/picture_pc_c276e1df71e63ea9af281b4317978894.png?width=1200)
日臣(ひのおみ)「さ・・・さすがっちゃ。」
剣根(つるぎね)「次回は『どんがめっさん』について、説明して参りましょうぞ!」