【お話28 青春に酔い】
「青春の味がする」
チューハイの缶を傾けながら、南が呟いた。
「なにそれ?」
咲良は隣で炭酸水を飲む。咲良も、去年二十歳になっていたが、お酒もたばこも好きじゃない。
お酒のカロリーを恐れ、タバコで肺活量が落ちるのを恐れている。
南は、どちらもそれなりに嗜んでいる。
「いや、なんかさ。レモンサイダーって青春って感じじゃん?」
「南が飲んでるのって、チューハイだよね?」
彼女の手にある筒に目をやる。全くかわいくないパッケージで、ストロング系のチューハイであることに間違いない。
「