歎異抄「善悪の二つ、総じてもって存知せざるなり」 3 菊谷隆太 2020年1月30日 20:45 「何が善で、何が悪か、善悪の分別くらいついているよ」と私たちは思っていますが、本当でしょうか。たとえば「ウソ」はどうでしょう。「ウソをつくのは悪いこと」「正直に生きなさい」「ウソが嫌いな人間になりなさい」と私たちは親や教師に教えられて育ちますが、これだって単純ではありません。ちゃんと実行していくとどうなるか。「正直にいいますが、貴方はヒョットコみたいなお顔をしていらっしゃいますね」「貴方は間違いなく末期ガンです。葬式の用意でもなさって下さい。私はウソが大嫌いですから申します」たちまち「空気の読めない人」「嫌いな人」「悪い人」と、レッテルを貼られてしまうでしょう。プレゼンを終えた同僚が「なんでもいい、気がついたことをずばずば言ってくれ」と言うので、「それなら」と感じたことを率直に言っていると次第に不機嫌になり、黙って行ってしまった、という話を聞いたことがあります。どうも素直で正直な善人になろうとすると、悪人になるようです。親鸞聖人は『歎異抄』で、こう仰っています。「善悪の二つ、総じてもって存知せざるなり」(『歎異抄』後序)“親鸞は、何が善やら悪やら、二つとも分からない” いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #仏教 #親鸞聖人 #善悪 #歎異抄 #親鸞 3