【エッセイ】噂話と人の想像力(700)
私は今、一般的な勤め人からしたらかなり特異な通勤の仕方をしていて自分でも複雑で説明するのがめんどくさい。
詳述してみよう。
単身赴任中。
住所地は滋賀県北部のど田舎の山奥。
勤務地は大阪府守口市。
平日住んでいるのは私の実家で大阪府南部の郊外都市。
週初めの月曜の早朝に自動車で勤務地に向かい、会社の駐車場に勤務日中は車を停めさせてもらっている。月曜から土曜は電車で通勤。土曜の勤務終了後自宅のある滋賀の住所地へ帰る。
書き出せばなんともないが、口頭で説明はかなりめんどくさく、一度の説明ですんなり理解してくれる人はまずいない。よほど頭のキレる人だけだ。
多分ある思考が私の説明を邪魔するのだ。ある思考とは?
「なぜ引っ越さない?」
これをほぼ100%訊かれる。その説明はやめておく。長くなる。指がしんどい。
だから会社の人と雑談していて私の居住地の話題になると大抵中途半端な説明に終わる。そして現職では私に関するこんな噂があるらしい。
「菊地さんには奥さんがたくさんいるらしい」
そうだったらいいんだが、生憎、私にはそんな経済力も体力もない。
人の想像力って凄いなと思った。面白い小説が少ないのは個々人の想像力の上をいく話などなかなか作り出せないからだと痛感した。がんばろう。
【良かった小説の紹介】
ここで村上春樹以外で珠玉の小説をひとつ。
小川洋子さんの「猫を抱いて象と泳ぐ」
この作品はチェスを通じた少年の成長物語なのだが、小川さんの恐ろしいのはこの小説を描くまでチェスを全く知らなかったとのこと。一味も二味も違う特別な作家である。
Audibleでも聴ける。私はAudibleで時間をかけて聴いた。とても良かった。
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