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バレエ公演

 現在、若手の女性バレエダンサーで、世界で最も人気があるダンサーの1人が、ロシア出身のダンサーであるマリア・ホーレワさんだ。

 彼女は今回、日本でバレエ公演をする予定だった。だが、本人は急遽来れなくなったしまった。それは新型コロナウイルスの影響だった。非常に残念だったが、夏にまた様子を見て来日する予定になると事務局から連絡が来た。


 今回は、谷桃子バレエ団プリンシパルの佐藤麻里香さん、三木雄馬さんなど、多数の豪華キャストが出演している。豪華公演だ。マリア・ホーレワさんが来ないからとキャンセルする理由は、どこにも見当たらない。とっておきのスペシャル公演だと思った。ワクワクドキドキしながら鑑賞しに会場へ向かった。

 しかし、会場に到着してみて、拍子抜けした。マリア・ホーレワさんが来なかったからなのだろうか?座席はガラガラで、キャンセルされているようだった。


 公演が始まった。流石はプロのバレエダンサー達だ。一切の手抜きがない。特に私が印象的に残ったのは、佐藤麻里香さんと三木雄馬さんによるエスメラルダ2幕のパドドゥだった。本当に素晴らしいバレエダンサー達だと思った。この前谷桃子バレエ団新春公演『ジゼル』の舞台を観たばかりだったから、まだあの演技力の記憶が鮮明に残っていた。佐藤麻里香さん、三木雄馬さんの気迫はあの新春公演の時と同じで、とにかく釘付けだった。


この2人は海外のバレエ団にいたからなのか、本当に素晴らしいダンサー達だと思った。今回は埼玉の芸術劇場で踊っていた。日本は大きな劇場じゃなくてもプロのバレエダンサー達が踊っているのだから、本当に驚きだ。勿体無いとさえ思ってしまう。公演情報を見かけたら、1度はそのワクワクする気持ちを是非経験してもらいたい。この瞬間しか観ることができないダンサー達のエネルギーを生で感じてもらいたい。


 公演が終わって、売店で買い物をしていたら、観客の一部の人がロシア人の販売員の目の前で、「あれはひどい人達の仲間だ」「ここでいるのが恥ずかしくないのか?」などと罵声を浴びせていたのを耳にした。ヒソヒソと話す声も聞こえた。


日本人として恥ずかしく思った。私がもし他国へ行って、その国の人に、自身のせいでもないのに一方的に責められたらと思うと、その国の人だけでなくその国に対しても、恐怖を感じると思う。その国の人と言うだけで、責めるのはやめてほしい。日本のことが大好きで訪れて来ている人にまで悪意を向けないでほしい。同じ日本人達の言葉を聞いていて、心が痛んだ。


 確かにプーチン大統領率いるロシア政府は、今もウクライナを攻撃している。でも、ロシア国民全ての人が攻撃について同意しているわけではない。今回出演していた男性のロシア人のバレエダンサーだってインスタグラムでロシア政府に対して、戦争はやめようと表明していた。その数時間後には投稿は消えていた。マリア・ホー
レワさんだって、投稿を毎日アップされていたのに、もう何日も投稿がない。投稿を楽しみにしているファンの私にとっては悲しい。恐らく、他のファンも同じことを思っているだろう。



 私はせめて、チケットだけでもとインスタのストーリーに公演チケットを載せた。すると、マリア・ホーレワさん本人から英語でDMが届いた。知り合いでもなんでもない。お会いしたこともない。ただ1ファンの私に…


「コンサートを観に来てくれてありがとう!
次こそは日本に行って、生で踊れることを願ってるわ。
私は日本のことが大好きで、日本人のこともとても大好き。日本人っていうのは素敵な人々で、また、日本という国も美しい国だと思うわ!」




 こういう時、バレエで世界中に繋がっているんだなと実感する。バレエを愛する気持ちに国境などない。ロシアにもウクライナにも、両方争いをやめてもらいたい。巻き込まれている市民は、それぞれの国で悲しんでいると思う。私も含め、ニュースで見るたびに、他国の人々も悲しんでいる。



  世界平和が1日も早く訪れることを願っている。




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