扶養の範囲を超えて働くことについて考えてみる
こんにちは。女性向け再就職コンサルタントのきくりんです。
初めましての方はこちらをご覧いただけるとうれしいです。
前回の記事
を受けて、扶養の範囲を超えて働くことについて考えてみたいと思います。今回は、社会保険の扶養の範囲(年収130万円(60歳以上の方等例外があります)未満)を超えた場合のことを中心に書いていきます。
扶養の範囲を超えた場合、パートナーの給与についていた家族手当もなくなる場合があります。ただし、最近の傾向として、家族手当の制度自体なくなったり、お子さんだけが対象になって配偶者の方にはつかなくなったりしている会社が増えています。
1.自分で国民健康保険・国民年金に加入する場合
前回書いたように、年収130万円以上になっても、自分で勤務先の社会保険の加入対象にならない場合は、国民健康保険・国民年金に加入することになります。手続きは、自分で市区町村の役所に行って行うことになります。この結果、以下のような点が今までと変わります。
新たに保険料負担が発生します。保険料は年末調整の際に申告することによって社会保険料控除の対象になりますので、ご自身の所得税の課税対象となる所得が保険料の分少なくなり、所得税を減らす効果があります。
医療機関にかかる場合は、ご自身の国民健康保険の保険証を使っていただくことになります。
社会保険の扶養対象になっていた方は、「国民年金第3号被保険者」として、ご自身で保険料を負担しなくても、基礎年金の計算対象になる期間にカウントされていました。国民年金の保険料を負担した期間は、「国民年金第1号被保険者」となりますが、第3号の場合と同様に基礎年金のみ対象となります。
2.勤務先の社会保険に加入する場合
前回書いた通り、所定労働時間や所定労働日数などが社会保険の加入要件を満たす場合は、自分の勤務先の社会保険に加入することになります。
この結果、健康保険料(40歳以上65歳未満の方は介護保険料を含みます)、厚生年金保険料の負担が発生します。
保険料率は、勤務先の会社が加入している制度によって変わります。協会けんぽ東京支部の場合(2023年度)、健康保険料率が5.00%、介護保険料率が0.91%、厚生年金保険料率が9.15%です。決して少ない金額ではありません。これと同額を会社が負担してくれて、手厚い給付が受けられることにつながります。
これらの保険料は、国民健康保険・国民年金の場合と同様、社会保険料控除の対象になります。会社で年末調整計算の際に控除してくれますので、その分課税所得が減り、所得税を減らす効果があります。
自分で社会保険に加入するメリットとして、傷病手当金や出産手当金が受けられる点があります。病気やけが、産前産後で休んで給与が受けられない日について、ざっくり言って給与の3分の2の金額が受けられます。
健康に自信があり、普段あまり病気をしないという方もいらっしゃるでしょう。ですが、働いている間に、突然病気やケガで休まざるを得ないこともあり得ます。そんなとき、傷病手当金のおかげで全く収入が途絶えてしまわないというのは心強いものです。女性の場合、婦人科系の病気で入院する方もいらっしゃいますが、そうした場合もカバーされます。
以前は、受け始めてから暦日で1年6か月経ってしまうと、途中で働ける日があって給付を受けていない期間があったとしても、それは考慮されずに給付が終了してしまっていました。今は、制度が変わり、途中ではたら通算1年6か月まで給付を受けられる仕組みになっています。病気により、よくなって働けるようになったり、また休んだり、といった経過をたどる方にとってもより使いやすい制度になっています。
自分で厚生年金保険に加入した場合は、その期間は基礎年金だけでなく厚生年金の計算対象になります。加入した分が基礎年金に上乗せされ、増えた金額で一生年金を受け取ることになります。
3.お金では計れないメリット
年収を扶養の範囲に抑えるために、就業調整をした場合は、責任ある仕事を任されるチャンスが限られてしまいます。
逆に、扶養の範囲を超えて働いた場合は、正社員登用などの可能性も広がります。正社員になった場合は、教育訓練の対象になり、仕事内容の面でもステップアップが見込めます。
4.どんな働き方を目指しますか?
自分がどんな働き方を目指すのか、少し長い目で見てみませんか?もちろん、今は働ける時間が限られているから扶養の範囲内で、という方もいらっしゃるでしょう。
今の給与の手取りだけでなく、自分が病気になった場合のこと、将来の年金のこと、自分の仕事内容のこと、全部考えて働き方を選択してほしいと思います。
迷ったり悩んだりしたときは、こちらのサイトからご連絡くださいね!