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兵馬俑展滞在記

兵馬俑、古代中国で死者を埋葬するときに副葬される兵士や馬を形取った人形。
狭義には秦始皇帝陵兵馬俑坑出土のものを指す。

初めて実物を見たが、
兵士も馬も実物大で、一つ一つの顔も違い圧巻だった。また、見事なのは鎧の装飾で、ボタンのような留め具が細かく忠実に再現してあった。

跪射武士俑(きしゃぶしよう)

立っている俑はよく見るが、
跪いてる俑もあった。手元は何かを支えていたような形をしており、槍かなにかを持っていたのかもしれない。まるで生きているかのような、その像たちが、秦の始皇帝の周りを何人も取り囲んでいると思うと、始皇帝の力の強さを感じた。
同時に、俑の芸術性の高さに秦の高尚な文化を感じた。

この展示会、兵馬俑の他にも出土した作品が何点も展示してあった。なかでも、1cmくらいの金塊でできた金虎(きんこ)は僕の中で一番のお気に入りだ。ピンと立ったチワワのような耳、世界を凝視する眼、少し開いた口。その愛らしい表情に魅了され、大量にグッズを購入してしまった。
金製の作品は他にもいくつかあり、金印に似た印鑑もあった。

金虎

僕の二番目のお気に入りは、彩色一角双耳獣だ。
漢代の『異物志』という書物に出てくる、
一角で物事の善悪を区別するる獬(かいち)という獣がモチーフになっているようで、墓守の役目として埋葬されたと考えられている。

彩色一角双獣

キョエーーーーー‼︎と言わんばかりのその表情は、確かに墓を守ってくれそうである。色褪せていなかったのも驚きである。
ギョロっとした目、丸みを帯びたあんよ。これもまたどこか愛らしい作品であった。

秦の始皇帝がいた紀元前770年。そんな前の時代のものとは思えない、美しい品々ばかりだった。土の中で整然と立ち並び、始皇帝を守る兵馬俑たちを想像すると、なんともいえない神聖な空間であったことが伺える。

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