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質問返し戦法
座学10日目の宗教の授業で、個人的に感動したのが「質問返し戦法」である。
授業のテーマは「幼稚園における宗教の在り方」だった。
ディスカッションで出てきた話題としては、
・飼っていたハムスターが死んだ時に、子どもが「”ハムスター天国”に行ったんだよ」と言ってきた
・ある子どもが「親が言ってたけど、男と男がキスをしたら、地獄に落ちるんだ」と言っていた
・サンタクロースや天使の存在を信じている子どもへの対応
などがあった。
で、ある生徒が先生に対して、
「子どもが先生に向かって『この世界は誰が創ったの?』とか『天国や地獄はあるの?』と質問してきたら、我々は先生としてどのように対応すれば良いのか?」
と投げかけた。
そしたら、先生は、
「私なら、子ども達に逆に質問するわ。『あなたは誰がこの世界を創ったと思う?』だったり、『天国や地獄はあると思う?』だったりね。で、子ども達と一緒に本で調べたり、議論したりして、理解を深めさせるわ。」
と答えた。
自分はこのやり方に感動したのである!
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自分は外国人なので、実習中は舐められないようにしないといけないという気持ちを少なからず持っていた。
だからこそ、自分の理解不足を示してしまう「質問」という行為を遠ざけていた節がある。
あと、子どもからの質問には、”先生として”ちゃんと答えられなければならないとも思っていた。
そうう考えを持っていたので、この「逆質問」というやり方は自分と真逆で衝撃を受けた。
それと同時に、そんなに構えなくても良いのかと肩の荷が下りた気もした。
この逆質問の良い所は、子ども達に考えさせるという点である。
先生側が答えや例を教えるのではなく、子ども達がそれを自分で見つけ出す形を作れる。
で、先生はその過程をサポートする役になれる!
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この逆質問戦法で思い出したのが、電車に乗っていた時の一場面である。
ある子どもが電車の中で騒いでいた。車内をウロチョロして、大声をあげて、暴れたい放題である。
お母さんが「やめなさい!」と連呼しているけど、その子は止めない。
お母さんがその子を抱き寄せて、顔を近づけて、真剣に注意しているにもかかわらず、その子は笑っていて、目はお母さんの方をあまり見ていない。
「自分だったら、その子にどう対応するかな…?」と考えながら、自分はその親子の様子を見ていた。
その子は遊びたいという気持ちが強いから、外からの強制力がかかっても、やめることは無いだろうと考えた。
そしたらもう、その子自身が「遊びたい」という気持ちを抑える方法しかないなと思った。
その子自身が、「電車の中で遊ぶことは悪いこと」と認識すれば、遊びを止めるのではないかと仮定した。
その時に考えていたのが、質問戦法だったのである。
まず、その子に「俺たちは今どこにいる?」と質問する。
そしたらその子は「電車の中」と答えるだろう。
次にコッチは「電車の中で騒いで良いのか?遊んで良いのか?」と尋ねて確信に迫る。
そこでその子が「遊んでも良い」と答えたら、その理由を聞いたうえで、その理由に反論して、遊んではいけないことを教える。
「遊ぶのは良くない」とその子が答えたら、もうこっちのモンである。
その子自身は良くないことが分かっているのだから、「じゃあ、なんで今、あなたは遊んでるの?」とダメ押しすれば、その子は自制心から遊ぶのを止めてくれるのではないかと思う。
まぁ、自分の空想なので、現実ではどうなるのか分からないけど…笑
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ただ、これまでの自分は”先生として”という変な責任感から、先生なら子ども達の質問に答えなければないと頭の片隅で思ってたし、外国人として舐められない為にも質問するのを避ける傾向にあった。
そんな自分にとって、「逆質問」という戦法はコペルニクス的転回だったけど、めちゃくちゃ良さそうだと直感した。
これからの実習で是非とも多用していきたいと思う。
自分はこれまでにこの「逆質問戦法」を使ったことがないので、どういう状況やどんな子ども達に対して有効なのか、経験としてのデータをストックしていきたいと思う。