逆ホラーゲームCARRIONを遊んだら自分のルーツを思い出した話

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こんなゲームを待っていた。

不定形の血みどろ触手クリーチャーとなって研究施設やらウラン鉱山やら聞くだけでたのしい予感がビシバシなエリアを散歩しながら哀れな人間どもを虐殺してまわるという「逆」ホラーゲーム「CARRION」。このゲームを遊んで思い出したことがある。

いつだってぼくらは人間どもを蹂躙したかったんだ。

昔からモンスターが大好きだった。ドラクエⅤじゃ嫁のビアンカも感動の再開をしたサンチョも伝説の勇者で息子でもあるレックスさえも馬車にしまい込んで、さまようよろいのサイモンスライムナイトのピエールキラーパンサーのゲレゲレが世界を救った。

周りの友達がドラクエ9で通信してる頃、家でPS1テリーのワンダーランドを起動してしん・りゅうおうを配合していた。

幼稚園の落書き帳はキラーマシンミミックでいっぱいだった。

こいつドラクエ好きなだけじゃない?

とにかくモンスターという存在の個性豊かな姿にあこがれた。似たり寄ったりな姿をしている人間キャラよりもずっと魅力的だった。

クトゥルフ神話の強大でユニークなクリーチャーたちと世界観にハマり、フロムソフトウェアのBloodborneは初めてトロコンした作品になった。

あこがれはいつしかなってみたいという欲望に変わった。

そして今回発売された「CARRION」だ。実は以前、開発中であるというニュースを目にしたことがあったのでずっと続報待ちリストに入っていたのだが、このたびNintendoSwitch版が発売と聞いて即日DLした。

そして感想だが

こんなゲームを待っていた。


思わずまた大見出しで宣言してしまった。でもそのくらい良かったのだ。まずゲームを始めて思ったことは

操作性が気持ち良い。

主人公は手足の決まりきった人間じゃない。無数の触手の集合体であり不定形の存在なのだ。重力なんてまるでないように縦横無尽に触手を伸ばし天井や垂直の壁を這いずり回る。

このゲームはいわゆる横スクロール探索型アクションゲームであり、メトロイドヴァニアとも呼ばれるジャンルである。横スクロールで主人公が一切重力の縛りを受けないことの気持ちよさ。横スクロールアクションに慣れているゲーマー程「人外」であることの快感を存分に味わうことが出来る。


次にレベルデザインが素晴らしい。レベルデザインとはゲームにおけるマップデザインや敵の配置の設定のことである。このゲームでは冒頭で書いた通りパニックホラー映画で今まで食べたパンの数ほど見たことのあるロケーションを探索することになる。

すると自然な流れでダクトの真下を巡回する哀れな警備員やドアの向こうで駄弁る研究者どもが当然のように配置されている。敵は全員が無抵抗に殺されてくれるわけではなく軽装の人間でも銃を使う上に重装の兵士は接近を防ぐバリア装置まで持っている。まぁそれでも怪物は割と強いので能力をつかったゴリ押しでもなんとかなることもあるし、それも蹂躙感があって非常に楽しい。

しかし、より楽に場を収めようとプレイするとアラ不思議

「ダクトの影から触手が伸びて警備員が一人一人消えていく」

「壁の向こうから滴る血に気付いた瞬間怪物がドアをぶち破りながら飛び出してきて不意打ちを食らわせる」

そんな映画のようなシチュエーションが自然なプレイの中にいくらでも生まれていくのだ。これが最高に楽しい。割と人間も手ごわいな、とか助かった餌だ!(人間を食べると回復する)とか、気が付くと怪物の気持ちになっていくようにデザインされているのだ。


最後に能力が増えていく過程に胸がときめく。探索を進めてアイテムなどを発見することで行えるアクションが増えたり、能力が強化される。横スクロール探索アクションではおなじみのシステムだが「CARRION」では施設内に保存されたDNAを取り込むというフレーバーが設定されており、これが世界観と非常に良くマッチしている。

最初は触手を伸ばし影から人を襲うだけの存在だった怪物が探索が進みDNAを取り込むたび肥大化し、恐ろしい様々な能力を発現させていく。そしてこの能力たちはメチャメチャ殺意に満ちている。

普通探索ゲームは探索と戦闘でバランスよく能力を獲得していくことで成長するが、このゲームはほとんどが破壊と殺戮の為の能力だ。ついでのように通れなかった壁を破壊できるようになったりするが、基本的にグロテスクで暴力的である。そうして手に負えない存在になっていく過程を一手一手自分の操作で導いていくのだ。

最後に

このゲームは本当に「映画の中の怪物」にさせてくれるゲームだった。オープニングからエンディングまであらゆる演出が自分を怪物に仕立て上げてくれる。まるでシンデレラの気分だ。他にもパズル要素などここでは語りきれない要素がまだまだあるので気になった方はぜひ実際に買ってプレイしてみてほしい。

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