【リーダーシップ開発】効果的なリーダーシップとは?ゴールマンの6つのリーダーシップスタイル
効果的なリーダーシップとは何なのでしょうか。
「こういうリーダーになるべきだ」という正解がある訳ではなく、
状況によってリーダーシップスタイルを
使い分けることができるリーダーが効果的だと言われています。
では具体的に、どのようなリーダーシップスタイルがあって、
どのような状況でそれぞれのスタイルを使っていくのが効果的なのか。
ダニエル・ゴールマンの理論を見ていきたいと思います。
そして、状況によってリーダーシップスタイルを使い分けるための前提として、
状況を見極める力が必要です。
特に、Emotional intelligence(感情的理性)は、
リーダーにとって、より一層求められる能力です。
Emotional intelligence(感情的知性)の重要性
優れたリーダーに求められるEmotional intelligence(感情的知性)は、ダニエル・ゴールマンが提唱する以下の5つの構成要素で成り立っています。それぞれがリーダーシップにおいて重要な役割を果たし、リーダーとしての影響力や信頼性を高める要素となります。
1. 自己認識(Self-Awareness)
自己認識は、自分の感情や思考を理解し、瞬間ごとに自分がどのような影響を受けているのかを把握する能力です。リーダーは自分の強みや弱み、信念を認識することで、自信を持って行動することができ、他者にも安定感を与えます。
特徴:強みや課題、感情の変化に気づき、常に冷静でいる
例:部下から厳しいフィードバックを受けても、感情的にならずに「どのように改善できるか」を考えられる
2. 自己管理(Self-Management)
自己管理とは、自分の感情をコントロールし、特にストレスや困難な状況において冷静に対応する能力です。これは、忍耐強さや柔軟性、誠実さを持ち、感情に流されずに責任ある行動を取る力に表れます。
特徴:冷静さと誠実さを保ち、感情に左右されずに行動できる
例:プロジェクトが不調に陥っても動揺せず、問題解決のための適切な判断を行う
3. 動機付け(Motivation)
動機付けは、リーダーが達成志向を持ち、自ら高い目標に向かって努力し続ける力です。自己改善を図り、目標に向かって前向きに進む姿勢は、チームメンバーにやる気とポジティブな影響を与えます。
特徴:自己成長に意欲的で、達成意識が強い
例:成果を出すために積極的に新しいアイデアを取り入れ、他のメンバーも巻き込んで行動する
4. 共感力(Empathy)
共感力は、他者の感情や視点を理解し、配慮する能力です。リーダーが共感力を持つことで、メンバー一人ひとりのニーズを理解し、サポートが必要な場面で適切な対応をすることが可能となります。信頼関係を築き、チームの結束を高める要因となります。
特徴:他者の感情やニーズに敏感で、配慮を示す
例:チームメンバーが難しい状況にある時に、声をかけたり、サポート体制を整えたりする
5. 人間関係管理(Social Skills)
人間関係管理は、メンバー間の協力を促進し、信頼関係を築く能力です。リーダーは強力なコミュニケーション能力を通じて、チームの団結力やメンバー間の協力関係を育み、組織の目標達成を支えます。特に複雑な課題や対立の解消などにも力を発揮します。
特徴:メンバー同士の絆を強化し、協力しやすい環境を作る
例:プロジェクトで対立が起きた際、対話を通じてお互いの意見を尊重し合える場を作る
ゴールマンの6つのリーダーシップスタイル
ダニエル・ゴールマンが提唱した6つのリーダーシップスタイルは、それぞれ異なる状況やチームの状態に応じて効果を発揮するリーダーシップの形です。リーダーは、この6つのスタイルを柔軟に使い分けることで、組織全体にプラスの影響を与えることが可能です。
1. ビジョン型リーダーシップ(Visionary)
概要: ビジョン型リーダーは、長期的な目標やビジョンを明確に示し、チームに使命感を持たせることに長けています。特に変革期や危機的状況で、全体の方向性を定める際に有効です。
強み:
優れたコミュニケーション能力をもち、組織やチームに明確なビジョンと方向性を示し、目標に向かってチームを導く力がある
チームメンバーの個人の目標と組織のビジョンを統合し、メンバーのやる気を引き出すことができる
課題:
理想論だと不満が出ることがある
2. コーチ型リーダーシップ(Coaching)
概要: コーチ型リーダーは、メンバーの成長や能力開発を重視し、個々の強みを引き出しながら長期的なスキルアップを支援します。特に、メンバーが成長意欲を持っている場面で有効です。
強み:
メンバーの個人的な成長を促進し、モチベーションを高める
非常に共感的で、チーム全体にプラスの影響を与える
課題:
コーチングが受け入れられないメンバーに対しては効果が薄くなる
リーダーに十分な専門知識がない場合、期待する成果を生み出せないことがある
3. 関係重視型リーダーシップ(Affiliative)
概要: 関係重視型リーダーは、チームメンバー間の信頼関係を深め、協力体制を強化するスタイルです。チームの士気が低い時や、感情的なサポートが必要な場面で特に効果的です。
強み:
チームに安心感をもたらし、メンバー間の信頼を深める
絆や忠誠心を高め、コミュニケーションが活発になる
課題:
パフォーマンスの低下を指摘しづらく、建設的なフィードバックが少なくなる
目標や方向性が不明確になると、組織の効率が低下する場合がある
4. 民主型リーダーシップ(Democratic)
概要: 民主型リーダーは、チームの意見を積極的に取り入れ、意思決定プロセスに参加させることで、全員の合意を目指すスタイルです。知識や経験のあるメンバーが揃っている場面で有効です。
強み:
メンバーの意見を取り入れ、信頼とコミットメントを築く
合意形成によりメンバーのやる気が向上し、チーム全体の包摂性が高まる
課題:
意思決定に時間がかかりすぎる場合があり、緊急時には不向き
迅速な判断が求められる場面では適さない
5. ペースセッター型リーダーシップ(Pacesetting)
概要: ペースセッター型リーダーは、高い基準を自ら示し、チームにも同様のレベルでの成果を求めます。即効性が求められるプロジェクトや、スキルの高いチームで効果的です。
強み:
短期間で高い成果を出すことができる
成果重視で、質の高いパフォーマンスを維持しやすい
課題:
プレッシャーが強くなり、メンバーが疲弊することがある
フィードバックが少なく、チームの士気が低下するリスクがある
6. 強制型リーダーシップ(Commanding)
概要: 強制型リーダーは、明確な指示を出し、迅速な対応を求めるスタイルです。危機的状況や緊急事態、トラブルのあるメンバーへの対応において短期的に効果を発揮します。
強み:
迅速な意思決定と行動が可能で、緊急時には成果を出しやすい
明確な指示により、問題のあるメンバーや状況に対処しやすい
課題:
長期的に使うと士気が低下し、メンバーに恐怖や不満が生じる
ネガティブな雰囲気を作り出し、組織文化に悪影響を及ぼすことがある
この6つのスタイルの中に、
自分が自然にできているスタイルや
性格的に好むスタイルがあると思います。
しかし、それはある状況では効果があったとしても、
他の状況では効果的でないということが起こります。
効果的なリーダーになるためには、
状況を見極め、リーダーシップスタイルを変えていく。
これを訓練していく必要があります。
私自身は、基本的にはコーチ型で民主型です。
幸運なことに、今いる組織や業務内容などが安定しているので、
私のリーダーシップスタイルは効果的に作用しています。
しかし、もし成長意欲の全くない部下がいたら、
強制型のスタイルを使いますし、
もし危機的状況になったら、
ビジョン型やペースセッター型のスタイルも使います。
それぞれのスタイルの特徴と、
どのような状況で効果が出るかを理解し、
一つのスタイルにこだわらず、
状況に応じて最適なアプローチを選び続けることが必要です。
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