暗闇の中夜空を見上げても、ロマンチックじゃなかった話
今の仕事を始める前、半年くらいニートしていた。
そのときふと、「星が見てえな」と思った。
都会育ちの僕は肉眼で星空を見たことがない。街灯がほとんどない田舎道ではプラネタリウムのような星空が肉眼で見えるという。
田舎に行くことにした。
多分、平日も休日もないニート期間だからできたことだと思う。行き先はなんか昔の旅番組で見た下田に行くことにした。
番組では確か芸人のカミナリが星の見えるカフェなどというところに行っていたが、現地にはそういう店がなかった(冬だったから?)
しかたなく現地で星見スポットを探すと、爪木崎という自然公園から出てきた。
下田の街からも離れたとこにあって、人工の灯りも一切ない絶好の場所だ。
19時頃爪木崎に降り立つ。
バスは昼間しか通っておらず、徒歩でたどり着いた。夜に来るような場所じゃないってことだろうか。
爪木崎に近づくにつれて、電灯の間隔が段々と長くなり、やがて消える。
ついて頃には一面真っ暗で何も見えない。
見上げると満点の星空。
だけど怖かった。
たまらずスマホのライトを付ける。体の震えがおさまった。
あれだけ人工の光から離れてリフレッシュしたいと思っていた私が、スマホのライトに安らぎを感じている。
あ、でも星を見に来たんだ。
思い切って芝生に横たわり、ライトを消す。
暗い。怖い。
耳が研ぎ澄まされ音に敏感になる。茂みの動く音にぎょっとする。「他の生き物に襲われるかもしれない」長年使ってなかった人間いや動物の本能が目覚めた。
3分経って帰宅した。
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