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The Beatles “Now And Then” 感想

2023年11月3日。ビートルズ最後の曲のMVが公開されました。

ビートルズによる「ビートルズ」についての歌

30年ほど前に「新曲」として発表された“Free as a Bird” “Real Love”はジョンの曲をビートルズとして完成させるといった方式でしたが、今作は意味合いが違います。
1970年代のジョン、1990年代のジョージ、そして2020年代のリンゴとポールの音源を組み合わせたこの曲は、その実現、存在自体がメッセージになっています。
ビートルズは愛をはじめ様々なテーマで楽曲を発表してきましたが、彼らの枠を遥かに超えて最早人類の文化の一部となった「ビートルズ」そのものについて歌った曲は当然ながらありませんでした。
「ビートルズ」という奇跡は4人の絆の賜物であり、その絆は時空を超え、生死をも超えるものである。この歌はその何よりの証拠です。こうしてビートルズに会えるのですから。
ポールがこの曲をボツにせずに30年近く温めてきた理由が分かったように思えました。
まあ亡きジョンとしては自分の曲を大衆向けに作り替えられてしまったので複雑だとは思いますが、彼がどう反応していたか考えるのもまた楽しいものです。

音楽

記念シングル的な本作の音楽についてあれこれ言うのもなんかおかしいですよね。
リンゴのドラムとポールのベースだけでもビートルズの雰囲気が出てしまうのは凄いの一言です。彼らよりテクのあるドラマーやベーシストもいるかもしれませんがそんなのは関係ありません。
巧みに挿入された“Eleanor Rigby” “Here, There and Everywhere” “Because”のコーラスワーク、全盛期のアレンジを彷彿とさせるストリングスは徹底的に「ビートルズっぽさ」を追求しており、大成功と言えます。
ジョージ成分の不足に配慮してポールがオマージュでスライドギターを弾いてくれたのはファインプレイだと思います。

元のジョンのホームデモと言われるものも聴いてみました。ビートルズバージョンで削除されてしまった試作段階感満載な第2のメロディがあり、なぜ採用されなかったという疑問も残ります。まあファンはないものねだりが性分ですもんね。
ただ改めて考えてみると、ビートルズ楽曲として完成させるという点を考えれば“It’s all because of you”というメッセージを伝える上ではノイズになりかねません。敢えてシンプルにしたポールたちの判断にも頷けます。狙っていると思わせずにしっかり狙うというアーティストの力が最も問われる部分でもあるので難しいところではありますよね。

<おまけ> 対談させてみた

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

2023年某日

ジョージ「みんな久しぶりだぜ」

ジョン「2023年になってもまだビートルズビートルズ言ってやがるから来てやったぞ」

リンゴ「これってどういう仕組み?お化け?嬉しいは嬉しいんだけど」

ポール「おう、テクノロジーの奇跡で2人が実体化した、といったところか」

ジョン「からくりはどうでもいい。単刀直入に言う。俺の歌どうしてくれたんだ。あれはヨーコに書いた歌だぞ」

ジョージ「そのヨーコがOKしたんだからいいじゃん。ジョンはみんなのものなんだよ」

リンゴ「最後くらいビートルズの4人として終わろうぜ」

ポール「俺もそのつもりで取り組んだし、多分MVの監督とかも同じ気持ちだ」

ジョン「参ったな。ってどうせこのnoteを書いてるやつの妄想だろ。本物の俺は俺にしか分からないからな。」

ポール「再会早々ジョン節全開だな。デモテープ形にするの大変だったんだぞ」

ジョージ「ジョン大丈夫、本当はポールが一番喜んでるから」

リンゴ「だな。俺の入るずっと前からポールはジョンの大ファンだもんな」

ジョン「そんなのわかってるわ」

ジョージ「ツンデレは困るね。ところでそっちはどうだい?」

ポール「未だにビートルズを超えるグループはいないね」

ジョン「だろうな。またくだらん戦争でもしてるのか」

リンゴ「相変わらずジョンは鋭いね」

ポール「まだ俺たちの歌が必要ってことだろう」

ジョージ「嬉しくもあり悲しくもある」

ジョン「でも仮にポールが先に死んじゃってたら俺にはできなかったな、ポールの昔の声からビートルズの歌を作るなんて。その心意気はすごいよ。」

リンゴ「良かったなポール、時を超えてジョンに褒めてもらえて」

ポール「……」

ジョン「まさか泣いてんのか?俺は思ったことを言っただけだぞ」

ジョージ「この感じ、昔を思い出すね」

リンゴ「昔の話ばかり聞かれてうんざりしてたけど今日はいい気分」

ジョン「リンゴがハッピーなら帰ってきた甲斐があったよ」

ポール「俺も久しぶりにこういうバカ話できてハッピーだ」

ジョン「ポール、お前はいつもハッピーだから心配してねーよ」

ジョージ「お前ら仲良すぎだろ笑」

リンゴ「なんか別れの時間っぽいね」

ポール「俺たちはもう少しこっちで頑張るから見ててくれよ」

ジョン「しんみりするからやめろよ。俺は一時も離れた覚えはないぞ」

ジョージ「俺もな。あのスライドギター聴いて安心したわ」

リンゴ「やめろ、俺も泣かせる気か」

ポール「じゃあ、明るくバイバイだね」

ジョン「ポールだから許す。いや、許した訳じゃないけど、ジョージとリンゴとファンに免じてこのくらいにしとくわ。あばよ」

ジョージ「みんな元気でね」

※ヘッダー画像はビートルズ公式サイトより拝借しました。


新規の『赤盤』『青盤』についても書きました。

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