会社経営と日露戦争
半藤一利さんと出口治明さんの「世界史としての日本史」を読んでいます。
司馬遼太郎先生が生前、「これからの日本に一番必要なのはリアリズムだ」「何でも手のうちを国民に明かすことだ」と言っていたのだとか。
ふたりの話は会社経営におよび、
経営者には、
①「うちはめちゃくちゃ儲かっているぞ!」と鼓舞するタイプ
②「うちは赤字なんだからみんな頼むよ〜」と危機感を煽るタイプ
の2通りがある
・・・という話になります。
日露戦争後の日本はまさに①で、その時生まれた「日本は一等国だ」という思い込みが間違った方向に進ませたわけです。
司馬先生が前出のごとく言ったのは、過ちを繰り返すなという意味合いでしょう。
わたしは完全に②のタイプなのですが、幸いなことに今のところ赤字になったことがありません。
だから、「来期はこうはいかないぞ」などという危機感の煽り方になりますが、人数が少ないのでほぼ自分にブーメランのごとく戻ってきます。
本当、頑張ってくださいよ。社長。
一緒にこのプレッシャーを味わってくれる仲間を早く増やしたいものです。
誰か応募してくれないかなぁ。
さて、話を日露戦争に戻すと、出口さんは日本がこのようになった背景には「経線思考」があるのではないかとおっしゃっています。
イエス・ノーゲームでイエスイエスと答えていくとどんどん右上に進んでいき、バランスのとれた水平線から大きく外れていきます。
当時の日本も同じように、勝った勝ったと大げさに伝えるうちに現実からどんぞんズレていって後戻りできなくなったのだと。
最初のうちに「ノー」と言わないと嘘が膨れ上がって取り返しがつかなくなるのです。
そんな話の後に、東芝が出てくるあたりが2016年の時勢を反映しています。今年ならさしずめ自動車メーカーだったでしょうか。
私の会社を次の経営者に譲ることができるのなら(そうなるように願っているのですが)、嘘の累積が膨らんでいない状態でお渡ししたいものです。