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キングサイズへの決意
わたしが毎日寝ているマットレスはセミダブルサイズだ。標準的な体型の女が一人で寝るには充分な広さで、狭くもなく大きくもないこの絶妙なサイズ感はどんな部屋の配置にも困らない。
今の家に越して9ヶ月程経った。この地域ではよくある外人住宅の間取りでリビングは広く、キッチンの棚は全てが高い位置にあったり、大容量だけど使いにくいパントリーが付いてたり、備え付けの洗濯機も洗濯機と乾燥機と二台どデカいドラム式が置いてある。
自室は約8畳の正方形な部屋だが、それまで快適に過ごしてきたのだがここ最近ベッドがとてつもなく狭く感じるようになった。うつ伏せで寝る癖を防止するための抱き枕を置いたせいだけではない。実家からまた新たに2匹の猫が来てから確実に自分が寝るスペースが消えたのだ。
人間の愛玩動物として今世の生命活動に従事しているプロフェッショナルな家畜を邪険に扱うことには気持が憚られる。わたしとしては、自分の寝るスペースさえもう少し確保できたらそれで良いのだ。動物の中でもとりわけ猫という生き物は世界的に見ても、野生でない限り人権をも凌駕する不思議な力を持っている。
猫に魅了されてしまう人間の不思議、他の動物にない普遍の美を兼ね備えているのが猫だ。ただいるというだけで美しく愛らしい。生きるオブジェは一家に一匹あるといい。世話をさせてもらえる歓びがもれなく付いてくる。
というわけで、猫を飼う家はセミダブルでは狭い。一匹でも0.5人分の幅を取るわけなので、三匹いるとしたら1.5人分、そして抱き枕を1人分とすれば、人が3人が平気で寝られるスペースが必要となる。
今後ベッドを買い替えるときには、キングサイズでいこう。猫の横に体を入れさせてもらい左半身の冷えるなか決意する。