面接で落とされる人の原因【こうすれば必ず人は動く8】
「就職の面接をどのように受けたらよいのか」という質問を、実にたくさんの人々からいただいています。そこでこの章では、正しい﹁面接の受け方﹂について実践的なアドバイスをしてみたいと思います。
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さてここで、この間題に最もふさわしい二人の男性に登場してもらいましょう。1人は、ハーバート・ウィンコーンさんで、今、職を探しています。もう一人は、何千人という求職者を面接してきた、人事担当部長のピエール・ボニンさんです。ピエールさんはオフィスの使い走りから叩き上げて、今では世界最大の紙袋メーカーであるユニオン・バッグ・アンド・ペーパー・カンパニーの財務責任者をしています。
それではまずハーバードさんが、求職に行くとき、実際にどうやっているのか、ここは私たち3人の会話をそのまま載せておきましょう。
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ハーバード「カーネギーさん、面接に行くまでは全く問題ないんですが、私はどうも自分を売り込むことができないんです。それで職にありつけない。いったい何がいけないんでしょうか」
カーネギー「こちらに、何千もの求職者を面接された経験を持つピエールさんがおりますので聞いてみましょう。ピエールさん、どうして自分をアピールすることができないのか、ハーバードさんに話していただけますか」
ピエール「OK。あなたが求職に来られたとすると、私がまず最初にする質問は、『どのようなご経験をお持ちですか?』ということなんです。
ハーバード「そうですね、ドラッグストアで働いたことがあります。在庫係とセールスをやったことがあります。そのほかにもいくつか仕事の経験はありますが……」
ピエール「おっしゃることは、それだけですか」
ハーバード「はあ。それで、十分じゃないんですか?」
ピエール「いや、それでは不十分なんです。求職者は大抵そのようなことを言って、それから黙り込んでしまうんです」
ハーバード「ほかに、何か言うべきことがあるんですか?」
ピエール「もし自分を売り込みたいと思うなら、もう少しエンスージアズム(熱意)を示さなければいけませんね。例えば、自分は若くて、知識欲も旺盛だし、長時間働く意欲がある、最初はわずかな給料でも構わないというようなことを言ってみるのです」
ハーバード「熱意を示さなければならないということは、わかっているんですが、あまりにも断られ続けているので、気力が萎えてしまって……」
ピエール「でも、あなた自身がそんなに弱気でいては、私はあなたにどんな印象を持てばいいんですか。気持ちのめげた人を採用するようなところはありませんよ。企業は、前向きな姿勢で、希望にあふれていて、熱意のある人間を求めているのです。それから忘れないでいただきたいのは、採用する側として、私は、一つのこと、たった一つのことにしか興味がないんだということなんです。それは、あなたが私に対して何ができるのか、ということなんです。ところが今までのところ、あなたはそれについて、まだ一言も言っていないでしょう」
ハーバード「でも、それは無理ですよ。そちらが何を求めているのか、私は何も知らないんですから」
ピエール「それでは、この間、ある男性がどんなふうに自己アピールをしたか、ご紹介しましょう。おそらく脳力的には、あなたと何ら変わらないような人だったと思いますが、面接に来る前に、数日図書館へ通って製紙業と紙袋事業について勉強をしてきたんですね。それから、うちのセールスパーソンと1日行動をともにして、当社の問題点を研究してきたんです。ですから、その人が私のもとに来たときには、話すべき話題があったんですよ。何日間かかけて、こちらに対して興味を示したわけですから。私も当然その人に興味を持つことになりますね」
ハーバード「ええ、確かにそうですね。何か明かりが見えてきたような感じです」
ピエール「あなたの思い違いは、ほかの誰でも犯すようなものなんです。でも、そういった間違いを繰り返さないようにと、カーネギーさんが、求職の際に守るべき明確なルールをまとめてリストを作ってくれました。
カーネギー「べつに私の作ったルールということではないんですよ。先週一週間、全国の大手企業の人事担当部長、十数人の方々にインタビューしまして、求職の際の心得をうかがったんです。インタビューにお答えくださった方々は、世界最大のクレジット会社(当時)であるダン・アンド・ブラッドストリートの経済研究担当局長、ウィラード・L・ソープ博士。メーシー百貨店(当時世界最大のデパート)の人事部長、アーネスト・ロートン。メトロポリタン生命保険会社(当時世界最大の生命保険会社)のウィリアム・J・ハーパーといった人々で、人と面接をして採用するという業務に全力をあげて取り組んでこられた人たちばかりです。この一連のインタビュー結果から、私のほうで7つのルールをまとめてみました。それでは、ピエールと私で交互に読み上げていきますから、聞いてみてください」(つづく)
『こうすれば必ず人は動く』
きこ書房
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