悩むところはそこではない(キャリアの話)
このまま先に進むと何があるのかと不安になっていませんか?
ここ最近、インキュベーション(私)宛てに、「今と未来に関する漠然とした不安」に関する相談が増えています。
私はキャリアコンサルタントではないので、CCの方々のような話はできません。かといって、華麗な過去もキャリアも持ち得ていないので、参考になるアドバイスはできないのですが、一つだけ言えることがあります。
それは・・・・
チャンスの神様は前髪しかない!
ということです。
Kairos(カイロス)という神で、前髪は長いですが後頭部は禿げており、高速で移動するためたやすく捕まえることが出来ない存在です。
ちなみに、Kairosと言う言葉は、古代ギリシア語のκαιρός(カイポック=機会)から来ているそうです。
機会はあがいて得るものではなく、瞬間的にやってくる
この30年間、様々な挑戦をしましたが実は自ら選んでチャレンジしたのは、新卒で入った食品会社の研究員と医療従事者だった2回きり。あとは、必要に駆られて、または上司の勧めでというものを繰り返しています。
基本、川下り(流れに抗わない)というスタンスを貫いています。
流れに抗えば、溺れる。余計に苦しくなる。
思い通りにいかないことの方が多いので、自分にできることを喜んでしようというスタンスです。
SIer時代、「この一年の行動を見ていると、槁本さんは大前研一になれると思う」と言った、謎の上司もいましたが、そのおかげで様々な機会を経験し今のキャリアにたどり着いています。必要な時に、さりげなく手を差し伸べてくれる良い上司と先輩、同僚に恵まれていたと今でも思っています。
セレンディピティ(偶発的創造)は、宝くじが当たることではない
それまで、一生懸命積み上げてきた結果、今だなと周囲が思った時、または自分が思った時に引き寄せる力なんだと思います。
つまり、「いまを頑張ったから見える、これまで知らなかった次の世界」なんだと思います。
こう話すと、みなさん「一生懸命頑張っているけど・・」と言われます。
しかし、ここで言う機会(チャンス)を得るための頑張りは、相手から見た頑張りであって、自分がどうではないのです。
新規事業や変革といったイノベーションに長く関わっていると、「想定外の出来事を最大限に活用する」ことが非常に重要だと感じています。
直近で言えば、コロナ禍がそのもの。
コロナによって出勤できなくなり、コロナ前に”リモートワーク充足!”と声高に唱えていたものが唱えなくても必然となり、その結果、Zoomが出現し、今や日常となりました。
地方の山間部に・・と社会善を唱えてもなかなか進まなかった遠隔診療もそう。想定外の出来事が必然になった。
私にとっては、離婚、自社倒産、パートナーの転勤、彼の脳梗塞(しかもコロナ第1波中)という危機が、それぞれ別の機会に変わりました。
危機が起きたときに、それより前の出来事が自分に影響を与えていて、危機のままで終わらせずに済みました。(あくまで結果)
そうやって、周囲に引っ張り上げてもらったんだとも思っています。
キャリアと役職 の関係
「リーダー職」になって、この先「課長―部長職」と梯子を駆け上った先に何があるのか見えなくなることがあります。
それは、「職(職務・資格)」を見ているから。
数年前に、ある同僚と1on1をした時のこと。
その人は「部長になりたい」を常に言っていて、では「なぜ部長になりたいのか」と尋ねると「(家族が)幸せになれるから」と。
「なぜ、家族が幸せになると思うのか」とさらに聞きましたが明確な答えはありませんでした。
私は、ずっとマネージメント業務から逃げていました。
メンドクサイ、人の世話をできるほど自分に自信がないことが逃げていた原因の一つです。
SIer時代、そんな私に、役員が言った一言がマネージメント業務に就くという意味に繋がった瞬間でした。
「もし、今の体制や仕組みに不満があって、こうしたいと思うものがあるのだとすれば、自分が上に立って旗を振る必要がある(=裁量を貰う)。そのために部長職という職があるのだと。役職は理想を実現するための近道の一つだ」と。
単なるマネージメントでも、威張っているボスでもなく「本当にあったほうがいい組織や会社の姿を実現するための職なんだ」と教えてもらったのです。
それでも、事務局はいまだにマネージメント職ではなく専門職です。
業務的には、マネージメントの領域が組織を超えているという意味では、マネージメント職という意味も含んでいると思います。
専門職ですが専門性を極め、一つではなく多岐にわわっての関連した専門性を高めることで、これまで役職でしか実現しにくかった「理想」への機会を手に入れることができる機会を得たためです。
自分の将来を今、決めるのではなく、積極的にチャンスを模索しながらオープンマインドでいる
マネージメント職になることが目標ではなく、マネージメント職は手段でしかない。手段を手に入れて、どうやって振舞うか、何を実現したいかだけはあってもいいけど、それも未来永劫ではない。
決められた業務をするための時間を減らして、自分で決めた業務をするためには「今にしっかり向き合って遂行する」ことが何より重要なのではないでしょうか。