#07 私たちのイノチの源のそばで働くってどういうこと?②漁業編
この時期は前回の続きです。
第7回 厚真町の漁師 澤口 研太郎さん編
・飼料工場にいた私が漁師になった理由
・漁師の仕事と、その目からみた環境の変化
・食品ロスに対して、漁師が持つ感情「すごくもったいない」
・どんな未来を残したいか
こんな問いについて話してみました。
・動画を見て、自分のハッとしたこと、気持ちがうごいた場面はどこでしたか。なにがあったから、そうなったのでしょうか。ご自身の経験に紐づけて、シェアしてください。
・これまでの暮らしの中で「すごくもったいない」と感じた体験がありましたか。そうならないように普段心掛けていることがありますか。
こんな声が聞かれました。
・日頃あまり思いを馳せることがない。こうやって聞かれないと。普段はお腹が空いたから食べる。
・漁業って圧倒的に大変だということ。知ったつもりは、全く知らないのと同じぐらいかも?と感じるほど、その大変さにはっとしました。
・なんかなんとも言えない気持ちが浮かんできました。私は釣ったりとか、自分でとることがない。スーパーで買う側なんですが、そんな大変な感じで食卓に上がるんだーという。
・牛を太らせるための餌、衝撃を受けた。牛の健康は考えられないで牛は育てられるんだ。考えさせられるビデオでした。
・海のマイナス25℃ってどんななんだろう…そんなすごい環境で魚を捕ってもらっているなら大事に食べなくちゃ。今年はししゃもが売っていなくて、お話を聴いてこんな背景があるんだと思った。
・海洋資源を守るという視点があるのをはじめて知った。漁の仕方だったりとか、なかなか聞けない話だったので新鮮だった。
・大阪湾の取材をしたことがあって、アナゴが捕れなくなった。海水温が1℃上がるだけでそこに棲めなくなっている。カレイなども棲めなくなっている。
・シシャモにとって適温は12~13℃で、20℃では捕れないことがリアルに感じた。
・効率的な底引き網ではなく、刺し網を行っていたのが印象的。
・8時間(丸一日)かけて、少なく取るために刺し網を選んでいる。他に出来ることがあるのにあえて少なく取る為に逆に時間をかけていること。
・北海道が刺し網漁法が多いのが印象的だった。アイヌ民族も漁は捕りすぎず、自然に残しておく、という考えなので、何かつながっているのかも。考えのルーツも知りたい。
・北海道は漁師さんが多いから、資源管理の観点から刺網が多いということにはっとしました。福岡や九州は底引きが多いので。北海道の漁猟のやり方に興味を持った。はっとしました。
・今借りている倉庫は、昆布巻きを作っている会社からのもの。昆布が取れなくなってきている。作れなくなるかも。という話を聞いた。
・野菜だと、オーガニック農家のものは買える。魚もそういう仕組みがあってもいい。
・漁師の顔が見えるものを選べるようにできると良い。消費者もそういうニーズを出すと変わっていくのかも。
・「売るために」お店はたくさんのもったいないことをしている。私も値段につられて買ってしまうことがある。安いのはすぐに痛むからすぐ食べないといけない。自分の料理が追いつかなくて、結局ダメにしちゃったことがある。安いから買っちゃえと思って買い、捨ててしまうことがある。
・スーパーに行くと、すごくたくさんあるのに、見た目が悪い部分はどんどん切って捨てている。そして美しい部分を商品としてお店に出している。もったいない。一瞬だけ見てその量なんだけど、1日いたらどうなるんだろう。
・コンビニのバイトで、カゴ何個もの食品が廃棄されていた現場を見ていた。適量がわからないビジネスなのかも。市場にこれくらいあるとわかっていたら、「今日はこれぐらいしか売れません」ということが適量であれば。
・お店や旅館などで、「安くならないから食べれない量でもご飯の量を減らさない」のではなく、「捨てるのがもったいないから安くならなくてもご飯の量を減らしてもらう」って言えるといいね
・賞味期限が全部一律で決まっている。ちょっと緩めなルールがあったらいいな。最近元気だし賞味期限三日ぐらいでもチャレンジしよっかな~みたいなのもいいかも。
・何気なく、いただきます!とかごちそうさま!とか言っているけれど、心掛けよりは習慣で言ってた。漁師の方に思いを馳せて言ってみようと思う。
共に複雑な現実を見つめるキャパシティ
複雑な現実と向き合うのは、実は、結構ツライことであったりしますよね。不都合な真実には、常に賛否両論があります。それゆえに、そのことについて無防備に話すことは、人間関係がバラバラになるおそれがあります。
複雑な現実を見ようとするとき、私たちはひとりぼっちだと、あるいは、人と人が対話できる関係がそこにないと「キャパオーバー」を起こしてしまいますね。答えがないものを前に、「こんなものを見てどうするんだ」とか「どうせ現実は変わらない」などとを言ってしまうかもしれません。あるいは、そもそも見なかったこと、気づかなかったことにしてしまうかもしれません。
そのことからすれば、今回のような動画を一緒に見て、建設的にやりとりをできた私たちには、ある程度「対話するキャパ」が育ってきたように見えました。参加された方はどう思いましたか。
今回のことはテーマである「食」についても示唆がありましたが、情報やメディアとの付き合い方についても個人的には気づくことが多くありました。
私たちの社会の情報流通網は「インスタント化」しています。まず、ほとんどの情報が今回のように「見てからみんなで対話するもの」ではなく、「一方的に出しっぱなし」になっています。そして、SNSやテレビでは、都合の良い、一口サイズの情報ばかりが流通しています。事件が起きれば、「犯人」になってしまった個人のプライベートが晒されて、みんなが石を投げつける、というような構造です。
しかし、ほんとうは、その後ろには複雑な背景があり、ほんとうは、一言では語りつくせない、想いがあります。どのような仕組みがあれば、あるいは、どのような仕組みをやめることができれば、私たちはより「フクザツな現実」を知り、そこから学びやすくなるでしょうか。
「仕組みを変えるために、みんなで共にはたらく(Act locally)」ためには、そのような探求も必要になるのだろうと考えた時間でした。
参加されたあなたは、どのようなことを思われましたか。
【ご案内】参加者募集中です!
自由で多様な学びの機会たっぷりの「みんなの気候変動SDGsゼミ・ワークショップ」は、引き続き、参加者募集中です。開催期間は、2020年9月~2021年2月、18時30分から21時00分。
お申し込みの方は、各回のご案内をメールにてお届けします。
➡︎こちらからお申し込みください。
https://forms.gle/9pDvPskPTWqY82RS9
【第7回目】私たちのイノチの源のそばで働くってどういうこと?②漁業編(2020.11.20)
グラフィックハーベスター 絹村亜佐子
エディター 反町恭一郎