僕の病院作り 後編
第1回は開業から移転までのことを書きました
そのエリアのニーズに合った戦略立案が重要という話でした
第2回は移転してから現在までをザックリ振り返ろうと思います
今、振り返ると、移転したころが一番勢いがあり、やりがいもあり、気持ちが充実していたように思います
移転後、スタッフがどんどん増えていきました
それに従い、だんだんと僕の目が届かない出来事が増えていきました
例えば、夜間診療の時間帯、外来の患者様がいない暇な時間に、あるスタッフたちが入院室でお菓子を食べながら楽しそうにおしゃべりをしていたという出来事があったことを思い出します
僕が病院にいない時にチームの雰囲気が緩んでしまうことが時々あったのです
その頃から、「マネジメント」について勉強するようになりました
本を読んだり、セミナーを受けに行ったり、専門家を招いて院内研修をしたり、、、、
でも、良くならないんです
僕はそういうことを学ぶために、病院を留守にすることが増えました
そして、学んできたことを実践(スタッフに強制)しました
でも、チームの状態がどんどん悪くなっていきました(僕にはそう感じられました)
僕とメンバーの間にある壁が、どんどん高くなっていったのです
「スタッフとの壁」というのが、僕の病院作りの後半のキーワードの一つです
今もマネジメントには苦労していますし、チーム作りがうまくいっていないことはまだあります
でも、病院作りの後半の5年ほどで、多くのことを学ぶことができました
「院長が病院にいる方がチームはまとまる(院長が病院から離れれば離れるほど、スタッフとの心の距離も離れる)」
これが学びの一つです
院長が病院にいれば、スタッフとの対話も増えます
なので、関係が築けますし、理解し合えると思います
でも、それだけではありません
必死で働いている院長の姿を見れば、「院長の話を聞こう」「院長についていこう」と思うスタッフも出てくるのです
僕のように人見知りで、口下手な院長ならば尚更そうなのです
僕の場合、夜間診療も最初の数年は一人でやっていましたし、休診日にも必ず病院に行っていました
決して、個々のスタッフに対して良い関わりができていたわけではありませんが、そういう姿を見せることで、チームをまとめることができていたんだと思います
病院を留守にすると、対話も減りますが、仕事ぶりを見せ、背中でスタッフを引っ張ることもできなくなるのです
僕にはそういう現象が起こっていたのです
マネジメントの勉強をするために病院を留守にして知識をインプットするより、そこに居ることでチームをまとめやすくなると思います
オペが上手な院長、何か専門分野を持っている院長ならば、そのスキルや知識によって、さらにチームをまとめやすくなると思います
病院作りの後半はこういうことをたくさん学びました
そして、スタッフに何かを強制し、スタッフに変化を求めることで失敗を経験したことによって、相手ではなく、「自分が変わろう」と思うようになりました
スタッフのせいにするのではなく、全て自己責任だと考えるということです
そして、自分を変えるために、「自分を知る」ということが必要だと感じるようになりました
たくさんの苦労と引き換えに、そういう「意識の変化」「自己理解」 という産物を得ることができたのです
これらについては、もう一つのnoteマガジン「自己理解と自己研磨」にたくさんの記事を書きましたので、ぜひ読んでみてください
このような病院作りの後半の締めくくりとして象徴的なイベントが昨年の11月にありました
開業10周年イベントです
そこで、スタッフと飼い主様の前で、僕はスピーチをしました
メインのメッセージは、
これまでやってきた「事業の拡大路線」はもうやめる
これからは「自分らしい病院作り」をしていく
ということでした
移転までの病院作りは、今振り返っても、良い展開だったと思います
「いつでも診てくれる動物病院」を作るという明確なビジョンがありました
そのためスタッフを増やし、病院を大きくしたことに意味がありました
地域貢献にもなり、自分自身の喜びにもなりました
でも、移転後は、決して良い展開とは言えません
何のために事業拡大を続けるのか? 目的がはっきりしていませんでした
周りからの評価を気にしてきた
注目を集めたかった
というのが、本当の目的だったように思います
そのため、とにかくスタッフを増やそうとしていました
そして、辞められると困るので、スタッフの居心地がいい職場にしなければならないと思い込み、自分が思い描く理想とは違うチーム作りをしてしまいました
そういうことに気がつき、病院を作り直すという決意表明をイベントのスピーチで語ったのです
開業から移転まで これが第1章
移転から去年11月のイベントまで これが第2章
それ以降、現在進行中なのが、第3章です
第3章のテーマは「自分らしさ」です
周りの目を気にしすぎるのではなく、自分の思いや願いを抑えずに表現する病院作りをしたいと思っています
それも、トップの自分は診療から抜けて、スタッフとの関わりは、ミーティングや面談のみというスタイルでやっていきます
さっき書いたことと矛盾しますが、副院長を中心に信頼できる幹部メンバーたちとはこれまで以上にコミュニケーションをとって、病院をより良くしていきます
組織作りについては、また別の機会に書こうと思います
結局、病院作りにおいて、院長として一番大切な役割は
「今、起こっている問題を認識して、それに対応すること」
これに尽きると思います
インプットはほどほどに、先のことは考えすぎずに、今、病院で起こっている問題を解決する
それを肝に銘じて、第3章を描いていこうと思います
前回と今回で、僕の病院作りをザックリと振り返りました
主に僕が何を考え、何を感じたか?ということを中心に書きました
失敗もたくさんしましたが、うまく行ったこと、他の人に伝えれば役に立てると思うこともあります
次回、僕がやってみて成果があった方法論をご紹介します
お楽しみに!!
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