【揺れる感覚って五感のどれ?】#06
”子どもと遊ぶ”が仕事の
小児の作業療法士ミキティです。
遊びに隠された感覚の秘密を
簡単にまとめています。
今回のテーマ:
「高い所や揺れが苦手なお子さん
いませんか?」
#06 前庭感覚②
1. 前庭感覚(ぜんていかんかく)ってなんだろ?
以前お話しした前庭感覚。
今回の前庭感覚のテーマ:
「高い所や揺れが苦手なお子さん
いませんか?」
高い所に立つと怖いのは
”高い”って目で見るから
「視覚」がもたらす影響と
思っていた私でした。
揺れが苦手で怖いのは
”転びそうになるから”
「バランス」が上手に
取れないからと分かっていました。
でも
それが「前庭感覚」という感覚で、
眼球運動とも深い関わりがあるなんて、
以前の私はこれっぽっちも
知りませんでした。
「前庭感覚」は
立ったり座ったりはもちろん、
”生活の中で欠かすことのできない感覚”
です。
感覚統合ではこれらの怖がっている状況を
見た時に、もしかして
「重力不安」「姿勢不安」
があるのかな?と考えます。
2. 前庭感覚がうまく働かないとどうなるの?
◉頭や体がわずかでも動くと、
その動きを大きな恐怖や不安と捉える
◉ダイナミックな遊びを怖がる
◉動きに対して極端に臆病で
情緒的に不安定になる
幼稚園でリハビリをしている時に
トランポリンに興味はあるけど
登れないお子さんがいました。
数ヶ月後、徐々に近寄り、
「ついに登ることが出来た!」
と思いきや、
自分の体重でトランポリンの
ベット(ジャンプする部分)が傾くと
その場に倒れ込んでしまったり、
セラピストにしがみ付いたり、
中には血相を変えて
慌てて飛び降りてくるお子さんもいます。
「重力不安」「姿勢不安」と
呼ばれるものがこれです。
大人向けにわかりやすく表現すると
「今、あなたは崖の先端に立っています。
急に突風がビュンと吹いてきました」
さぁ、どうしますか?
【ノルウェー断崖絶壁「トロルの舌」 Photo: Asaki Abumi】
きっと、その場に倒れ込んだり、
その場所から少しでも安全な場所に
一目散に移動しませんか?
少し大袈裟ですが、子ども達が
トランポリンで足元がぐらっとした時に
怖がる気持ちがこの状態。
「うちの子、怖がりなんだよね」
ではなく、
脳の機能が上手に
働いていないと”ちょっとの揺れ”も
こんな風に恐怖となって感じる
そこをいつも保護者の方や支援の方に
伝えています。
3. どんな遊びをするのがいいの?
◉公園の大きな滑り台をシューッと滑る
◉足が届く遊具で自分で動きをコントロールさせる
(子どもが自分でやる分にはそんなに怖がりません.慣れてきたら、大人が少しずつ遊具を動かします)
◉お家で布や毛布などに子どもを乗せて引っ張る
(ポイント:しっかり布を握らせ固有感覚と連動させます)
◉テーブルや椅子を並べてトンネルを作り
その下をくぐる
(毛布や布をさっとかければ、さらにテンションUP間違いなし!)
これらはスピードや上下・前後・左右の揺れを
沢山含む遊びです。
4. まとめ
重力不安を持つお子さんは、
周囲から動かされたり、揺らされたりすると
とってもびっくりします。
自分で動きをコントロールできないことが
子どもの不安を大きくしています。
最初は公園の山に一緒に登ったり、
子どもが自分の足でブランコを揺らすなど
自分で調節できるような遊びを
横で見守ってあげましょう。
子ども達との時間が
増えたこのタイミング。
ぜひ、プラスに考えて
お家あそびを
楽しんでくださいね。
参考文献:
感覚統合Q&A
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作業療法士(OT)は 実は子ども達のサポートも しているリハビリ職。 これらの記事が読んで頂いた方の 子育て・療育のヒントになればと思っています。 子ども達は今この瞬間が 生きてきた人生で一番成長している時。 記事を通してみなさんと 関わる事が出来たら嬉しいです✨