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活字活版印刷で栞を作った

(これは2020.7月に投稿したが誤って削除した記事の再投稿です)

同人サークルが、活版印刷所「まんまる〇」さんで活字活版印刷をお願いしたレポートです。「デパートで配ってる香水のアレみたいな細長い栞」を作りました。

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こういうのです。かわいいですね。金額と注文の手順を記録しますので、活版で何か作りたい方の参考になれば幸いです。


作ったものと金額


ざっくり、100枚で15000円弱です。

<作ったもの>

・デパートでたまに香水のサンプルで配られるあの紙みたいな細長い栞。大体15×1.5cmぐらいです。

・用紙は特Aクッション1mmの白(1mmは厚みです)

・インクは銀と浅葱の二色グラデーション印刷

・使った活字は6pt 48字

・枚数は100枚

<金額>

・活字代+断裁代+印刷代  ¥11,350

・グラデーション印刷代 2000円

合計13350円+税

単色で途中で色替えをする(50枚は青、残り50枚は赤とか)は+500円、活字組版ではなくて凸版の場合は版代+断裁代+印刷代は9450円だそうです。

<紙について補足>

厚さ1mmで紙としてはものすごく厚いです。コースターみたい。よく凹むので、活版がすごく映えます。細長いのでこれぐらいの厚みだとしっかりしてていいと思います。ただ、本に挟むとちょっと跡がつくかも? 

依頼の仕方


まんまる〇さんのHPに依頼フォームがあります。ここからインクや印刷の種類、紙などを選んで送信します。

メッセージ欄には下記の内容を書きました。

> メッセージ本文:
> 以前同人誌の表紙を印刷して頂きました。お世話になっております。
> 細長い栞を作りたく見積もりのご相談です。以下に仕様を書きます。

> ・活字活版印刷で、大体50字ぐらい。文字のみ。(活字がなかったりしたら凸版でもOK)
> 使う文字は「【鈴蘭】幸福の訪れ 幸福の再来 優しさ、愛らしさ 純粋 純潔 繊細 意識しない美しさ 謙遜 純愛 希望 愛の告白」です

> A6で作った場合のイメージを添付します
> 文字の大きさは7〜9ptぐらいです。

実際に使う紙のサイズは印刷所さんにお任せしますが、仮にA6だとこんな感じで7つできるよ、ということを言いたいための画像を添付します。実際に添付したイメージは以下の通りです。これはフリーソフトのmediban paintでざっと作りました。

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しばらくすると以下のような返信が来ました。

・活字組版の場合
文字間を詰めることができないので、6ptの活字で組版します。
活字代、断裁代など全部合わせて ¥11,350-となります。

・樹脂凸版の場合
データ通りに製版できます。(断裁機の都合で4面付けになります)


活字だと文字間を詰めることができないのは盲点でした。よくよく考えれば、はんこの文字間を詰めることができないのと同じです。間を離すことで字間を広げることはできても、詰めることはできないんですね。今回は6ptにしました(結果的には6ptでも可読性に問題はなく、よかったです)

zoom立ち合い


「グラデーション印刷は色味の好みなどがあるので、お任せでもいいが、立ち合いできますよ。このご時世なのでzoom立ち合いもできます」というご連絡をいただきました。

正直なことを言うと、デザインに明確なビジョンがあるわけではなくて、「グラデーションとかやってみたいな~なんかかわいいだろうし」というだけでした。なので立ち合いで何を見て何をお願いしたらいいか全然わからなかったのですが、「おもしろそう」という理由だけで、立ち合うことにしました。

事前にzoomのURLが送られてきたので、約束をした時間に入室します。すると向こうに工房が見えて、「活版の工房だ!」「印刷所だ!」となりました。もうここで既に楽しかった。どこらへんを境目にグラデにする?とかをここで注文できます(特にビジョンがないため真ん中にしてもらいました)。

画面越しですが目の前でリアルタイムで印刷機を動かしていただき(私の印刷物のために!)、色味を見て「画面越しなのでよく見えないけどかわいいと思います」みたいなことを言って、退室しました。とても楽しかったです。

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印刷機がグラデーションに染まっている。ウルトラマンみたい。ウルトラマンは最近やってたウルトラマンZと、ティガとガイアがおすすめです。

びっくりしたのは、オフセットとかオンデマンドだったら、こういう変形のものを作るとき、一枚の大きい紙に何個かまとめて印刷→断裁 しますが、活字活版の場合はそれができないので、紙を切ってから→一枚一枚印刷 になるのだそうです。途方もないですね。その代わりこういう細長いものとかすでに型抜きされてるものとかにも印刷できるとのこと。

完成品


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あとで届いた実物の、銀→浅葱(水色)へのグラデーション。きれいです。

活字も同封されていました。活字は基本的には都度購入してるのかな? 印刷代の料金内でもらえました。これは「築地活字」さんの活字とのこと。

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横から見ると工場地帯か、大型の船のようです。かわいい。

配るあてはない


少し自分の話をしますが、今回これを「ノベルティの栞」という体で作っていますが、特にどこで配る予定もありません。そもそもイベントに参加する予定がありません。

印刷したのは鈴蘭の花言葉です。鈴蘭、自CPにおいて最重要の花なのですが、そういうのがあったらまあ花言葉とか調べるじゃないですか。そしたらなんかすごいんですよ…純潔とか…愛の告白とか……。すごい……え……すごくない……? これは物理的に、立体で存在させて、人に無差別に配りたくない? 鈴蘭の花言葉すごいですよ…見てください…って言いたくない…? と思ってあとさき考えず作りました。満足しています。配るあてはありません。

虚無のノベルティです。

食べる人のいない料理、攻めのいない受け、魔王のいない勇者、配るあてのないノベルティ……。虚無のノベルティを100枚、14000円ちょっとぐらい払って、職人さんに一枚一枚手作業をしていただきました。別にいいよね…趣味だし…。わずかでも経済を回していますし…。印刷物は最高だし……。(2021/8/02追記 この記事を書いて1年経った今でも一度もイベントに出る機会がなかったので、結局本のついでに通販しました)

ほんとうはこれに鈴蘭の香水を吹きかけるなどして配れたら最高だな~~~~~~~~と思うのですが、香水はアルコールが含まれていて、紙はアルコールに弱い……と聞いて、栞として使った時に、自分の本ならともかく人様の本を傷めたら怖すぎるので、多分やりません。

今回と前回は厚みのある紙を使いましたが、「手作業なので袋とかすごく薄い紙にも印刷できる」と聞き、それはそれでやってみたいです。何かの袋作りたい。

補足ですがまんまる〇さんはご自分でデザイン・印刷したグッズのオンラインストアなどもやってらっしゃって、それがかわいいのでサンプル代わりに買うのもいいかもしれません。https://kappan.stores.jp/

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