一番大変だった里帰り【#弥立つ】
「一緒に頑張ろうね!」
当時5歳だった娘と手と手をパチンと合わせた。
サンパウロの国際空港から成田空港まで、ロスでの給油待ち時間を含めて丸1日以上。聞き分けのない1歳児と、頼りない幼児を連れての帰国に自然と弥立つ心。
深夜の空港で並んだ列で、子連れの日本人女性に出会った。生後4ヶ月の乳児と、風邪で発熱中、激しく咳き込む2歳児を抱えていた。
励まし合ってそれぞれの座席に向かう。夜通し泣く息子を揺らしながら遠目に見た彼女も、客室乗務員を巻き込んで闘っていた。まさにカオス。
ロスではお互いの苦労話に花が咲く。
同じような10数時間の後、眼下に広がって来たのは故郷千葉の眩い緑だった。あぁ、4年ぶりの日本。傍にはニコニコ顔の子供達。闘いは終わったと思った瞬間。
乗り継ぎで更に西へと向かう彼女は
「ここまで来たら帰ったも同然」
と言った。母は強し、とつくづく思う。
さぁ、あのドアの向こう側には懐かしい顔が待っている。
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