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知ると面白い食薬学⑦|卵はどういう作用、旬はいつ?

こんにちは。きっかけ作家のもりちです。

お時間がありましたら、読んでいただけたら嬉しいです。

タイトルの食薬学は、普段食べている野菜や果物は、薬にもなるよという話です。昔は薬がなかったから、食べ物を食べて治していました。

数値で見る西洋医学とは異なり、東洋医学のほうが感覚的で本当?と疑いたくなるのに、しっくりくることもあります。面白くて不思議な東洋医学、食薬学の世界にようこそ。

今日の食薬学通信は、卵です。
また鳥インフルエンザが流行して、鶏肉も卵も値上がりすると思います。

どんなときに卵を食べたらいいのか?お話します。


東洋医学からみる卵の効能

卵は潤いUPの補陰です。

  • 乾燥を改善する

  • 血の質をよくする

  • 安眠作用

  • ノドの熱をとる

  • (空咳・のどの痛み・声枯れ・発声困難)

卵、全体はそういう効能がありますが、
卵白と卵黄は微妙に効能が違います。

卵白

卵白はちょっと冷たい性質があり、

  • 熱をとる

  • 解毒

  • 肺の熱を冷まして、咽喉の痛みや咳を止める

卵黄

卵黄は冷やしも温めもしない平性で、

  • 乾燥を改善する

  • 血の質をよくする

  • 胃の機能を高める

  • 眩暈・震え・痙攣の改善

卵の帰経は、脾胃・心・腎・肺・肝で網羅しているなと思います。

帰経(きけい)とは?
簡単に言うと、どこの臓腑や経絡に効果があるか?
という目安だと思ってください。

風邪のときにたまご酒を飲んだり、おかゆに卵が入っている理由も、
栄養価が高いという以外に、潤し咽喉の痛みを止める効能があることも、
影響しているのかもしれません。

私が数か月に1度行く中華屋さんに2ヶ月前の秋に行ったときに、
店主さんは、私が注文する前に言い当てました。

店主さん「キクラゲと卵の炒め物でしょ?」

私「何で分かったんですか?」

何もおっしゃらなかったけど、あの料理に入っている、きくらげ・卵・小松菜・豚肉は全部、潤いUPの補陰なので、秋冬や、身体が熱くて乾燥している
更年期の症状がある方にはピッタリです。

小さいときからご家族や身近な方々から、秋にそういう食べ物を食べるといいと言われて育った方は、東洋医学的な説明は全く出来なくても、ちゃんと分かっていらっしゃるのですね~

中華料理も韓国料理も食薬学が根付いているなと思うメニューが多いです。

栄養学からみた卵の効能

栄養学から見ると、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素は満遍なく含まれています。多いのは、たんぱく質、脂質、カルシウムです。
栄養価やカロリーから見ると卵黄>卵白です。

卵にはビタミンCがないので、ビタミンCのある野菜と組み合わせると、カゼ予防になります。

例えば、ジャガイモと卵のオムレツ
ブロッコリーと卵の炒め物、ホウレンソウと卵のスープ
夏だとトマトと卵のオムレツ、トマトとレタスの卵のスープなど。

また卵にはレシチンとコリン
という栄養素が多く含まれています。

レシチンとコリン

レシチンはリン脂質の一種で、細胞膜の主成分
コリンはビタミンB群の近い?似ている栄養素でレシチンの材料

細胞膜とは?

人の身体の約60%が水で構成されていて、その水の大部分は60兆個の細胞に取り込まれています。その細胞の内と外を仕切って、細胞が機能するように、内部の状態を維持したり、必要な栄養素を取り込んだり、老廃物を出したり、反対に不要な物質が入らないようにしている壁が細胞膜です。

これが機能しなくなると、細胞が死んでしまうので、役割としては重要です。

レシチンとコリンが体内にあることで、認知症の予防・動脈硬化の予防・肝臓の機能を高める・脂肪肝の予防・高血圧予防・美肌効果・コレステロールの抑制ができます。

レシチンは卵や大豆、コリンは牛・豚・鳥・レバーなどに多く含まれていますが、野菜にも含まれています。

生物・生化学・解剖学が得意ではないので、私も「フーン」としか思えないのですが、レシチンとコリンは神経伝達物質アセチルコリンの材料でもあります。語尾にコリンとついているので、アセチルコリンに関係しているくらいで大丈夫です。

「自律神経」という言葉を聞きますよね?簡単に説明します。

全身に張り巡っている自律神経と臓腑はつながっているので、自律神経が乱れると、内臓がうまく機能しなくなって、睡眠不足・季節の変わり目による寒暖差疲れ・眩暈・便秘・下痢・片頭痛・肩こり・手足の冷え・疲れやすいなどの様々な症状がでます。この症状を自律神経失調症と呼びます。

自律神経は無意識に働くので、自分で動かそうと思って動かすことは出来ません。

自律神経は、交感神経系と副交感神経系の2つからなり、
互いに拮抗して働きます。

緊張状態のときに交換神経が活発に働く、副交感神経は抑制される
リラックスしているときに副交感神経が活発に働く、交換神経は抑制される

交換神経が活発に働くと
目の瞳孔拡大・心拍数上昇・唾液少量濃く分泌・血管が収縮(血圧上昇)
気管が拡張・胃の血管が収縮・腸の運動低下
皮膚の立毛収縮(=鳥肌)・発汗
膀胱筋が弛緩(排尿抑制)

副交感神経が活発に働くと
目の瞳孔収縮・心拍数減少・唾液が多く分泌・血管が拡張(血圧低下)
気管が収縮・胃酸分泌亢進・腸の運動亢進
膀胱筋が収縮(排尿促進)

各々が活発に動くときに、神経の末端から神経伝達物質を放出させて、各効果器を作動させます。

交換神経の神経伝達物質をノルアドレナリン
副交感神経の神経伝達物質をアセチルコリンと言います。

簡単に説明はできなかったですが… 
レシチンとコリンはアセチルコリンの材料なので、緊張状態がずっと続くような方は、レシチンやコリンを意識して食べるといいかもしれません。

卵の旬

通年、卵はスーパーで買えますが、旬は2~4月で冬は産卵量が減り、卵が成熟する期間が、雌鶏の母体で長いため、栄養価が高いと考えられています。

この時期に作られた、プリンとか茶碗蒸しとか、卵がガッツリ感じられるものは、微妙に違いがあるかもしれませんね。

また卵のサイズはSよりもLのほうが大きく、生まれるまで時間がかかっているので、Lサイズのほうが価格が高くて・栄養価も高いです。

アレルギー

日本人の食物アレルギーは年々増加傾向にあります。

なかでも卵アレルギーは全体のアレルギーの4割を占めています。
特に乳幼児に多く、成長するにつれ症状が起きなくなる場合もあるし、
大人になってから、卵アレルギーになったという人もいます。

卵を含む食物や植物アレルギーは何故、起きるのでしょうか?

体内で異物として認識され、免疫が過剰に働いておこる、くしゃみ・鼻水・発疹・咽喉のイガイガ・呼吸困難などはアレルギーによる症状です。

ひと昔前は、アレルギー検査で高数値が出たものに関しては、極力避けるように指導されていたと思います。

最近では、少量ずつ摂取してアレルギーの症状を減少させる治療もあります。花粉症は砂糖の摂取を控えるだけで、だいぶ緩和されます。

日本の保健適応のアレルギー検査は36項目、または39項目くらいなのですが、それ以外のものを受けるとしたら自費で1項目330円~です。

実費のアレルギー検査キットは120項目、219項目あり、即効型のアレルギーでない、遅延型のアレルギーを疑う方は、検査している方もいらっしゃるようです。金額は40,000円弱~55,000円くらいです。

ただアレルギーの検査は絶対的なものでもないです。

例えば、私の家族には、バラ科の果物に反応をする人がいるけれど、数値にはでないし、バラ科の果物、全部に反応するわけではありません。枇杷とりんごは反応があるけど、梅・桃・梨などは好んで食べます。

数値だけでは判断できない、産地や生産過程、そういうものも影響しているのかもしれません。

最後に…

食薬学シリーズを読んでくださっている方々へ いつもありがとうございます。食薬学シリーズは、興味を持って下さる方は僅かではあるのですが、それでも私が続けたいことです。

私が何故、食薬学を発信しているのか?知っていただきたかったので、最近、エッセイを追加しました。


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