smashing! あたたかいうちにいただいて

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は付き合っている。そして二人と一緒に住み始めたのは伊達の後輩で恋人、設楽泰司。

せっかく出てきちゃったんだからちょっと働いてくわ、非番の日なのにオレより先に出勤してた伊達さんが笑っている。データとか書類片付け手伝おうかな、裏に引っ込んでって、看護師の子と何やらK-POPの話で盛り上がっている。何だセブチて13人て。伊達さんの守備範囲が広すぎてたまについてけなくなる。

オレは今日実家からここに来たから、伊達さんたちの動向は知らないまま。ハルちゃんに送ってきてもらった、そう言ってロッカールームに入ってきて、オレのビックリフェイスにビックリしてた。急に代休入ったのを忘れてたんよ、って。車使ってくださいオレ電車で帰れるんで、そしたら首を振って、夕方一緒に帰って買い物行こう、そう言った。

伊達さんがいるとほんとに患畜が少ない。急な予定変更でもこのジンクスは変わんないんだな。平和に時は流れてあっという間に夕方定時。昼はオレが持ってきてた弁当（おにぎり数個）を伊達さんと分けて食べたから、腹が減って仕方ない。とりあえず駐車場から車を出す。そういやお前とこっからの帰りにまともに帰ったことないんよね、苦情なのか賞賛なのか不明な伊達さんの発言。

伊達さんの気に入りの大型スーパー。食材豊富で値段もお値打ちですごくいい。オレらぐらいの年齢でスーパー好きとか、世帯臭い典型なのかと思いきや、ここの客層がオレらとさほど変わらないってのは驚きだ。セクシャリティも同じかもしれない。そこはかとなく男二人連れ多いし。そういうカプ御用達なのかもしれない、そう思ってたら伊達さんがなんかイケメンに話しかけられてるじゃないかおい。これどうやって食べるのか聞かれてたんよ、成る程、大丈夫なりに気を張ってないといけないらしい。

美味そうなローストビーフ挟んだフレンチディップ、ああ温かいやつだな。伊達さんと一緒に車で食べたくて三個、カートに入れたらすぐ見つかって、コールスローのサンドウィッチを伊達さんが追加で放り込む。あとはビールの代わりに炭酸水ですね御意。食材も沢山仕入れてレジ済ませて車戻って、早速サンドウィッチを頬張る。フレンチディップここで食えると思わなかったねえ、温かいものは温かいうちに食べてしまった方が絶対美味しい。それで家に帰る前に堪能してしまう、オレの流儀。

ああ、だからそれで伊達さんもああしてこうしたくなるんだな、隣でフレンチディップを大口で齧り付いてるこの人を、こんな目で観ちゃったりするんだな。お前さ視線がうるさいんよ、そんな文句もただの可愛い小鳥の囀りに似て。