本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。
今回は少し刺激的なタイトルになっているが、”NEXTレベル”をめざすためにこそLSPはあるというメッセージの裏返しである。
このような質問はLSPについて周りに説明したことのあるファシリテーターであれば、必ず1回は受けたことがあるのではないだろうか。「LSPをお願いしたいのですが?」「LSPで何かしたいのですが?」というのも同類の質問である。
この答えにおいては「LSPはあらかじめ決められた内容を持たない」というのがポイントで、顧客の声をしっかりと汲んでカスタマイズすることに手間を惜しむなということである。コストはかかってしまうが、クライアントに本当に良かったと思ってもらうことが、リピートや他のクライアントへの紹介が生まれるということを考えれば結果的に安くつく、ぐらい考えても良い。
「次のレベル」思考への道
LSPのトレーニングを受けたファシリテーターならばよく分かると思うが、「次のレベル」とはアスピレーションという考え方と重なる。つまり、自分(たち)の潜在的な可能性を解放できたときに到達する新たな地平を意識するということである。より重要なことは、その新たな地平は習慣的思考を脱した時に到達できるということである。これを実際のワークショップの現場に落とすと、単にアスピレーションを作らせて終わりにせず、アスピレーションの実現のためにどのような習慣的思考を脱せねばならないかも問うべきだということである。
「次のレベル」のイメージ関して以下のような写真と図が添えられている。
この写真と図にはGAZETTEでコメントはないが、下の写真から感じるのは「思い切ったインパクト」を与えないと多くの人の考えは変わらないというメッセージである。もちろん「思い切ったインパクト」は習慣的思考の打破である。
知識は理解するものではない
まずは「逆さハンドルの自転車」について以下からみてほしい(日本語の字幕も設定で見ることができる)。私たちの能力について深い学びのあるビデオだ。
このビデオからも明らかなように「習慣的思考から脱する」と言っても実際に実現するのは容易では無いことを、ファシリテーターは必ず知っておくべきであろう。上記で「環境(your environment)」は、習慣的思考からの脱出を妨げるもの、助けるものという意味であり、それをよりよく理解しておくということである。
「LSPのワークショップを実施したが効果がない」という場合、何をしなければならないか、何に気をつけなければないかがその場で分かったものの、その実践を怠ることでそのような結果になる可能性がある。そして、ビデオ「逆さハンドルの自転車」を見る限りは、習慣的思考を脱するまでに、場合によってはかなりの時間がかかるかもしれない。その観点から、ファシリテーターからクライアントへの関わり方についても中長期的に考えていく必要があるだろう。