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THE GAZETTEを読む(23)2016年12月号現状に満足している? そうならばレゴ®︎シリアスプレイ®︎は、あなたには向いていません。

 本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
 この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。

 今回は少し刺激的なタイトルになっているが、”NEXTレベル”をめざすためにこそLSPはあるというメッセージの裏返しである。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)メソッドの認知度が高まるにつれ、このメソッドに基づいたワークショップを提供してほしいという依頼が増えています。その際、「どのような標準的なプログラム(既製品のような理解)を提供できますか?」という問い合わせを受けることがあります。

THE GAZETTE 2016年12月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 このような質問はLSPについて周りに説明したことのあるファシリテーターであれば、必ず1回は受けたことがあるのではないだろうか。「LSPをお願いしたいのですが?」「LSPで何かしたいのですが?」というのも同類の質問である。


 私の答えはこうです。「そんなものはありません!」。これが電話での会話であれば、相手が数秒間沈黙してから、私の答えを説明することになると思います。「LSPは、あらかじめ決められた内容を持たない、ファシリテートされたテクニックです。それは、現実のグループがリアルタイムで現実の課題(ポジティブまたはネガティブ)に取り組むのを助けることができる構造または言語なのです。あなたが考えているグループやチームを集めたい(=ミーティングをしたい)理由について詳しく教えていただければ、LSPがあなたにとって適切なツールであるかどうか、そして、あなたの特定のニーズや目標に合わせて介入方法をどうカスタマイズするかについてお伝えすることができます。」

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 この答えにおいては「LSPはあらかじめ決められた内容を持たない」というのがポイントで、顧客の声をしっかりと汲んでカスタマイズすることに手間を惜しむなということである。コストはかかってしまうが、クライアントに本当に良かったと思ってもらうことが、リピートや他のクライアントへの紹介が生まれるということを考えれば結果的に安くつく、ぐらい考えても良い。

「次のレベル」思考への道

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎の話をしているとき今でも、「組織や団体では、どんな課題やトピックにLSPを使っているのですか?」とよく聞かれます。「 LSPは、高度な戦略開発、組織やビジネスの開発、入社式、学習と開発、キャリアプラン、市場分析、製品開発、チーム開発、さらには家族や社会の発展、教育など、幅広い課題に効果的に利用することができます。」と答えるだけでは、私自身でも、少し残念に感じます。
 LSPメソッドのすべての用途に共通するテーマとして、そのテーマで次のレベルに進みたいという普遍的な欲求があります。継続的な改善やより良くなること、今日のやり方について考えるだけでは十分ではありません。LEGO SERIOUS PLAYを使うことを決めた人たちにとって、それは習慣的な考え方ややり方から脱却し、根本的に新しい見方ややり方を作り出すことなのです。
 LSPメソッドを選択したほとんどの人は、次のレベルと呼ぶにふさわしい結果と目標を達成するためには、大きな問題でも小さな問題でも、将来についての準備と決断の現在の方法に疑問を持つことから始まると言います。それは、過去と同じ方法で物事を行えば根本的に新しい結果をもたらされるという信念を打ち砕くことなのです。

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 LSPのトレーニングを受けたファシリテーターならばよく分かると思うが、「次のレベル」とはアスピレーションという考え方と重なる。つまり、自分(たち)の潜在的な可能性を解放できたときに到達する新たな地平を意識するということである。より重要なことは、その新たな地平は習慣的思考を脱した時に到達できるということである。これを実際のワークショップの現場に落とすと、単にアスピレーションを作らせて終わりにせず、アスピレーションの実現のためにどのような習慣的思考を脱せねばならないかも問うべきだということである。

 「次のレベル」のイメージ関して以下のような写真と図が添えられている。

 この写真と図にはGAZETTEでコメントはないが、下の写真から感じるのは「思い切ったインパクト」を与えないと多くの人の考えは変わらないというメッセージである。もちろん「思い切ったインパクト」は習慣的思考の打破である。

知識は理解するものではない

 つまり、組織・チーム・グループの人々の深い潜在的な知識を浮上させるには、人々が隠れた新しい知識を引き出し、習慣的な思考方法を打ち破ることが必要なのです。LSPはそのためのプロセスです。
 次のレベルに到達するためには、知識だけでなく、環境を深く理解することが必要です。そのことを説明するために、「逆さハンドルの自転車」についてのビデオを4分ほど見てください。
 このビデオで強調したいのは、私たちは皆、この自転車の仕組みを知っているから乗れると考えているということです。物事が頭の中にしかない限り、私たちは自分が理解していると誤って信じています。自転車に乗る練習をすることで心とスキルを再プログラムするように、レゴブロックを使って今日の自分と次のレベルへの願望を3Dの風景として構築することで、新しい知識を引き出し、習慣的に行っている結論の出し方に挑戦することができます。そうなれば、あなたは「次のレベル」を手に入れるための少なくとも半分を手に入れたことになります。

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 まずは「逆さハンドルの自転車」について以下からみてほしい(日本語の字幕も設定で見ることができる)。私たちの能力について深い学びのあるビデオだ。

 このビデオからも明らかなように「習慣的思考から脱する」と言っても実際に実現するのは容易では無いことを、ファシリテーターは必ず知っておくべきであろう。上記で「環境(your environment)」は、習慣的思考からの脱出を妨げるもの、助けるものという意味であり、それをよりよく理解しておくということである。
 「LSPのワークショップを実施したが効果がない」という場合、何をしなければならないか、何に気をつけなければないかがその場で分かったものの、その実践を怠ることでそのような結果になる可能性がある。そして、ビデオ「逆さハンドルの自転車」を見る限りは、習慣的思考を脱するまでに、場合によってはかなりの時間がかかるかもしれない。その観点から、ファシリテーターからクライアントへの関わり方についても中長期的に考えていく必要があるだろう。

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