レゴ®︎シリアスプレイ®︎を通じた状況の表現について
前回の記事では、ある問いに向けて作品を作ることは、その問いに沿った「概念」を作り、それを通じて世界を評価することもつながる(役立つ)と指摘した。
そのような使い方から少し外れる問い方がある。それが「現状」を問うものである。より具体的にいうと「あなたの今の状況を説明する作品を作ってください」という問いに対して作られる作品だ。
大きな理解の枠組みで言えば、その作品もまた対象(この場合にはまさに自分の「現状」)を評価するものなのだが、「理想のリーダーシップとは」のような問いとは異なり、「何を持って良いとするのか」が見えにくいことが多い(良し悪しの感覚も作品の中に明示されて出てくる場合もある)。
そもそも「現状を説明する」という問い立てが良くないのではないかという考え方もある。「理想の状況」を作らせればいいではないかということだ。もちろん、そちらの問いの方が現状の評価に使えるものが出やすい。
一方で、「現状を説明する」作品にも利点がある。それはその人が何に注意を向けているかを知ることができることだ。そして、それが作品に出てくる理由に意識を向け傾聴し、追加で説明をもとめることで、より豊かにその作品を作ったその人の見ている世界に理解を深めることができるだろう。その対話から、その人が現状についてどう評価しているかを理解することも十分にできるはずである。
「現状の説明」については、相談やビジネスなどいろいろな場面で行われているはずだ。そのとき、悩みが混じっていると、「現状」の取り扱う範囲が広いだけに、話し手も延々と話しがちだし、聞き手も延々と聞かされることになるリスクがある。レゴ®︎シリアスプレイ®︎の作品であれば、ブロック表現という視覚的な利点も加わって、注意すべきポイントだけが端的に現れるので、長くても5分以内で、かつ、簡潔に整理されている話を聞くことができる。
さらに人は見たいものを見る傾向がある(傾向が強くなると「確証バイアス」や「認知バイアス」と呼ばれるものになる)ので、その傾向を取り除く第一歩としても重要である。
具体的には、非常に近い立場にいる人同士で「現状を説明する」作品を使って突き合わせれば、自分が何に注意を払っていて何が見えていないかに気づく機会がうまれる。そして、それをヒントに状況の認識を改善し、次の一歩を考える材料とすることができるだろう。
「理想の状況」を作った場合であっても、同時に「現状を説明する」も作品あった方が、より思考や対話はクリアーで論理的になるであろう。レゴ®︎シリアスプレイ®︎のワークの中では、2つの作品をつくりそれを比べる時間を確保することをお勧めしたい(ブロックの使い方の練習も含めて3時間ぐらいだろう。練習を別にしておけば#1時間半から2時間で十分にできそうだ)。
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