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レゴシリアスプレイメソッド・グローバルミーティング2024を振り返って(1日目)
2024年10月7日と8日にかけて、デンマークのレゴ本社があるビルンにて、世界中からレゴシリアスプレイメソッドのファシリテーターが集まった。
レゴシリアスプレイメソッドの開発者であるロバート・ラスムセンとペア・クリアステンセンからの話に加え、世界中のファシリテーターの実践や考えをまとめて聞くことができるのが特徴である。
今回は1日目で話された内容について紹介していきたい。
(1)オープニング:Robert and Per(デンマーク)
・ファシリテーター・トレーニングも進化させているとのこと。
・社会的課題に取り組んだり、レゴブロックを十分に用意できていない環境にあるファシリテーターを支援する「プロボノ・プロジェクト」の採択者の発表があった。
・ファシリテーター全員で大聖堂を作っていく。大聖堂のいくつかの原則(アジア地域ミーティングで話されたことと同じ)を大切にしていこうとの呼びかけがあった。
(2)Luca Bruschi(デンマーク/イタリア) 私の会社渡り歩き日記
・いくつかの会社を渡り歩きながらLSPをしてきた経験談と教訓が語られた。理解とビジョンのある上司がいることは、どこでもLSPが根付くのに大切なことのだなと再確認した。
・後半はワークショップ(メタファーを使ううまさを競うコンテスト)が行われた。
(3)Thomas Møller Lybæk レゴグループでAIをアンロックする
・レゴ社の人材マネジメントの担当者による、AI導入のための取り組みについて大枠を説明してもらった。当然だが、情報の取り扱い規則などが整備されており、その観点からAIの導入も慎重に進めている。ゆくゆくはAIを使って新たな知識を生み出すことを狙っている(と聞こえた)。
・レゴ社では職種がたくさんあり、人事評価の難しさもわかっているので、かなりデータと時間をかけているようで、今も人間の判断する部分が多い。
(4)Sanjukta Ray(インド) レゴシリアスプレイを通じて回顧するー様々なステークホルダーとのシリアスだが楽しい旅
・ご自身がファシリテーターになられて、企業でいろいろな部署の方にLSPをしてきて感じたことの効果を紹介していた。
・インドの方なので企業も基本的に他民族・多文化環境にあるため、いろいろな意見をしっかり聞き出しお互いに受け入れることができることの良さを語っていた。ワークではランドスケープをかなり使っている印象で、他人の意見もランドスケープを通じて自分ごとにできることの良さを話していた。
(5)Marije Kooi and Patricia Verploegh Chassé(オランダ) 仕事の幸せ
・「生きがい IKIGAI」という日本語ワードを出し、LSPをすると、「私」と「私たち」の良好な関係が作れることを強調されていた。
・中盤からは、ファシリテーター同士の連携、オランダのコミュニティ活動の話へ。小さな国ということもあり、年4回は集まって様々なテーマで勉強会をしているとのことで、それがお互いのWSでの相互支援にもつながっているとのことでした。
・ワークでは、ペアになって一つずつブロックを交互に使ってタワーを建てるワークを体験した。またできたタワーを使って、同じ作品から2人がそれぞれLSPで生み出される価値について語ってみた(Explain this風に)のも面白い体験だった。
(6)Sarah de Wit and Frank Kobus(オランダ) アジャイルとレゴシリアスプレイ
・アジャイル開発(ITなどでよく使われる製品開発の方法)でLSPを使ってみたという話をされていた。チームの全体状況を確認したり、チームであってもなかなか言えないことがLSPだと出てくることの良さを語られていた。
・問題解決のアイデアを出したい場面で、参加者全員が集まって考えるのではなく、ペアを組んで考えさせるようにするのだが、そのときに作ったモデルを前にして、席替えでペアを変えながらアイデアを出していく方法を紹介されていた。
(7)Filipe Santos(ポルトガル) レゴシリアスプレイーベンチからベッド脇、そして背後へ
・医療現場で、実験室(ベンチ)と臨床現場(ベッド脇)をつなぐ活動をレゴシリアスプレイで行うことについて話していた。
・調査者/技術者向け、医療職業人向け、関係者、に合わせてそれぞれプログラムを展開した。今後はそれを拡大し、AIなどにも繋げて、イノベーションの起爆剤といきたいと考えているとのことである。
(8)Stylianos Filopoulos(ベルギー) レゴシリアスプレイで未来を考える会議を切り開く
・新型コロナで途切れたイベントを新しい時代にアップデートするためにレゴシリアスプレイを使った。ペアやロバートにも手伝ってもらって新時代の会議のあり方を模索した。
・時間を合わせてワークショップを行うのではなく、時間が異なってもモデルの写真や動画を使って意見を積み重ねていく方法、バラバラに訪れる人にモデルを作ってもらって意見を集約していく方法も紹介された。
(9)Riccardo Piazza(イタリア) レゴシリアスプレイのワークショップにおける音楽
・DJもしているファシリテーターによる発表で、ワークショップで音楽を使うことの価値と使用する際の注意点についての説明があった。
・いくつかのワークショップの場面で使うためのおすすめの音楽のプレイリストを共有してくれた。
(10)Annemieke Mintjes(オランダ) 仕事での愛
・愛という概念の広さとそれを使って愛の考え方をレゴシリアスプレイを使って職場に導入することを考えるワークショップの方法を紹介した。
・アジア地域ミーティングで発表された内容と基本的に同じだった。
(11)Minna Pura(フィンランド) 持続可能なビジネスモデルキャンバスとトリガー・カード
・企業に環境への影響を考えてもらうことを目的に、レゴシリアスプレイメソッドを使ったワークショップを展開している。
・モデルを作り、プレイのシナリオを書いたカード(トリガー・カード)を使って、どう反応するかを考えて教訓を引き出す方法の体験ワークショップを発表内で体験させてくれた。
(12)Coffee Chat Teamからの報告
・これまでのコーヒーチャットを収録したビデオ・ライブラリーを充実させ、ワード検索や要約も見れるようにした。
・今後は世界で活躍する各トレーナーによるトークも増える。
ここまでが1日目の内容となる。
この後はディナータイムで、飲み物や食事を楽しみながらいろいろと情報交換する時間になる。
私の目の前に座ったのはアメリカから参加してきたLolleta Veneyさんであったが、彼女は自分の活動をファイリングしたポートフォリオを持ってこられていて、それを見せながら話をしてくださった(オリジナルで組んだレゴのWS用セットも持ってこられており、それも素晴らしかった)。認知症患者に対してレゴシリアスプレイメソッドを使った活動をされているということで、非常に興味深いものだった。
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これまで私は基本的に言葉で自分の取り組みを説明してきたが、こうしたポートフォリオがあるだけで本当に伝えることも違ってくる。されてみるとなるほどという感じであるがコミュニケーション・ツールとして、このような準備をされていることに深い感心と尊敬の気持ちしかない。ちょっと自分の参加への姿勢について見直す良い機会になった。
もうひとつ、The LSP Magazineの最新号を発行人のMichel Cloostermanから受け取った。素晴らしい活動で今回が第16号である。世界中のファシリテーターの実践を紹介し情報交換するコーヒーチャットのビデオ・ライブラリーも80本以上になったということで、かなりの量の知見が溜まってきている。
The LSP Magazineのホームページ
https://lspmagazine.com/
10年近くファシリテーターとして、いろいろと取り組んできたレゴシリアスプレイであるが、これらの知見を消化しきれていないことに対する意識が大きく高まった。
これらを整理していき、今後、レゴシリアスプレイメソッドを学んでいく新たなファシリテーターたちにもこの知見を引き継いでいきたいし、そのような活動に自分の時間をもう少し増やしていくべきでないかと考えるよいきっかけになった。
今回はここまで。次回は2日目の内容を紹介する予定である。