
『ティール組織』をレゴシリアスプレイメソッドの文脈で読む(5)第2部第1章 3つの突破口と比喩
このNoteのシリーズでは、『ティール組織』を読んでレゴシリアスプレイメソッドとの関連を考察していく。
ここから第2部「進化型組織の構造、慣行、文化」に入っていく。第1部よりもより具体的に、実際の企業などの事例なども使って、進化型組織の特徴やマネジメントについて踏み込んでいく内容になっている。
本章で最初に指摘されるのは、進化型組織となるための突破口(ブレイクスルー)と比喩(メタファー)である。
比喩は「生物」または「生命体」とされる。著者は、この生命体は、進化に向けてあらゆる知恵を働かせながら、底知れぬ美しい生態系を維持している、と説明する。
このような比喩が当てはまる組織になるための突破口は3つあると指摘されている。
(1)自主経営(Self management)
ー階層や共通認識(コンセンサス)に頼ることなく仲間との関係性の中で動くことができる。
(2)全体性(Wholeness)
ー構成員が自分の全人格(合理性以外にも情緒的、直感的、精神的な側面も含めて)をさらけ出して働くことができる。
(3)存在目的(Evolutionary purpose)
ー構成員は、先に何か絶対的な目的があるのではないと考え、組織が将来どうなっていきたいのかに耳を傾け、理解する。
この3つを進化型組織に分類されている会社・団体が全て満たしているとは限らない。むしろ、進化型組織の突破口を全て抜けている会社は相当少なく、事例として取り上げられる十数社のなかでもわずかである。
進化型組織は大きな組織から小さな組織まで、地域企業からグローバル企業、営利企業だけでなく非営利企業にも存在し、幅広い。著者は大きな組織については、一人一人からじっくり話を聞くデプスインタビューを100名以上に行ってきたという。
次の章からは本格的に3つの突破口について進化型組織がどう運営しているのかについて扱っていくという。
レゴシリアスプレイメソッドとの関連
レゴシリアスプレイメソッドで「自主経営」の感覚を生み出すようなワークショップをするならば、(1)参加者が各自が自分自身の中の「自分らしさ」や「誠実さ」に従ったときのアイデンティティをモデルとして作り、(2)お互いのモデルの良い関係のあり方をモデルのテーブル上での配置(もしくは関係性をブロックで表現)するようなワークが一つのパターンとして考えられるだろう。
「全体性」について何かワークショップの形にするとしたら、これも自分のアイデンティティについて表現することになるだろう。仕事に対する自分、世の中で起きていることに対する自分、自分の人生についてに対する自分など、いくつもの側面でモデルをつくっていく。そのなかで、自分自身の中の全体性、他の人を含んだ組織としての全体性を表現するような手順を踏むだろう。
さらに、上記のワークショップの流れに、組織としての全体性を意識できれば「存在目的」を自然と考えていくような流れに持っていくことができるだろう。