「総論賛成・各論反対」はLSP対話では起こらない?
上記の記事にように、「総論賛成・各論反対」が日本企業の抱える大きな問題であることはしばしば指摘される。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LEGO Serious Play :LSP)を使った対話、すなわち「LSP対話」では、そのようなことが起こらない。
モデルの中のストーリーが分裂を避ける
理由は簡単で、LSP対話では、「意味の一貫性/部分の総合性」を重視した対話が自然に起こるからだ。
どうして「意味の一貫性/部分の総合性」が対話の中で重視されるのか。
それは、LSP対話のもとになるブロックで作られたモデルが、そもそも複数の部分的表現から構成されており、それを説明するときに、部分をつなげた「ストーリー」として語ることになるからだ。
「ストーリー」内での、意味の矛盾は容易に浮かび上がる。そもそも語り手は無意識のうちにそれを避けて意味づけを行う(私もワークショップの中で何万というストーリーを聞いたが明らかに矛盾する話は聞いたことはない)。心理学で言う「認知的不協和」を避けることが行われているのだろう。
要するに、「総論賛成・各論反対」は、総論と各論とがストーリーで一貫性を持っていない状態から生じると思われる。
モデル化が「表現」と「意味」を切り離す
LSP対話では、複数の人が参加する。なので、一つのテーマについての考えを語ったときに賛成と反対が交錯して意見がまとまらないことになるのではないかと考える人もいるかもしれない。
しかし、LSP対話では賛成と反対が同居したまま終わることはない。必ず、なんらかの合意に達していく。
それは「賛成」や「反対」はその人の意味付けの結果であり、その前にブロックのモデルには「表現」の段階があることが大きい。
つまり、対話のなかで「賛成」や「反対」の感情を導くもとになる「表現」へとフォーカスすることで、その「表現」のもつ別の意味の可能性を対話の中で探ることができるからだ。
モデルが自分の脳とは切り離され、物理的に「表現」されているので、ある「表現」に特定の意味のみを押し付けていた自分自身に気づくことができる。それによって「反対」「賛成」を横において、その「モデル」が何を表しているかについて対話をして、共通の「ストーリー」を探ることができるのである。
この点について世界中の紛争や対立を調停して実績をあげてきたアダム・カヘンも以下の書籍でLSP対話の優秀さに言及している。
このような仕組みがメソッドに埋め込まれているので、LSP対話では「総論賛成・各論反対」にならないように、あるテーマに対する結論をもっていけるとともに、参加者の結論に対するコミットメントを高めることができる。