「学び」の好循環とレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド
教育機関の役割においては、「学び」の好循環を作り出す環境づくりの側面が非常に大切になってきている。人間が増え、グローバリゼーションが進んで世界がつながり、世の中が変わるスピードが早まった。社会で生き抜いていくために、必要となる知識はどんどん変わってくるからである。
教育機関に所属する身としては、変化を感じる度に教育機関に戻って来てもらうのは活動存続の点でありがたい側面があるのだが(学び手が費用負担をしてくれる限り)、どこにあっても学び続け、成長し続ける力をつけて送り出すことが、学び手にとってより価値の高い「学び」(学び方の学びである)となるだろう。
「学び」の好循環モデル
このことを実現させる第一歩となるのが、「学び」の好循環とはどのようなものかという問いである。
ここで思い出されるのが、アメリカMITのダニエル・キム教授の「成功循環モデル」である。
これは、基本的に企業という文脈で語られているため、これをもう少し個人の 文脈に引き寄せて表現すると以下のようになるだろう。
(1)自分自身の認識やスキルをアップデートすることで、自分の周囲の状況が変化して新たな局面が見えてくる。(関係の質への影響)
(2)新たな状況は、自分自身に新しい関心や問いを引き起こす。(思考の質への影響)
(3)新しい関心や問いは新たな行動や思考の挑戦を引き起こす。(行動の質への影響)
(4)新たな行動や思考の挑戦を積み重ねることは、自分自身の認識やスキルをアップデートすることへとつながる。(結果の質への影響)
下図のように、この4つの項目間で(1)〜(2)〜(3)〜(4)〜(1)〜…と学びが循環し続けるイメージである。
なお、「循環」なので、どこから循環が始まっても構わない。そのため項目の数字はどこでも良いのだが、教育機関からの視点でいうと、教育機関の学び手への関わりは主に「学び手の状況」の一部として変化に関わることになってくるため(1)にそれを置いている。
この循環は決して起こすのは簡単ではない。例えば、周囲の状況変化を受けて、自然と関心や興味を高められる人は多くはない。また、関心や興味を抱いたりしても、そこから行動へと移していける人はいない。行動や思考の挑戦によってはっきりと認識やスキルの向上まで繋げられる人はいない。また、そうした変化を正しく評価して適切な処遇や次の課題を提示できる人もそうは多くない。
つまり実際には、このサイクルは断絶だらけということになる。
これらのサイクルの断絶を修復しながら学びを高めていくにはどうすればいいのだろうか。
そのために、それぞれの状態を把握することで、まず落ち着き、先のプロセスにつながるための適切な解釈を自分の中に落とし込んでいくことが一つの方法として考えられる。
状態の把握や整理、そしてそこから次に進むための適切な解釈の創造においては、自分の中のさまざまなことに思いを巡らすとともに、十分なイマジネーションを掻き立てる必要がある。
そのあたりにレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドが支援できるポイントがありそうである。