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レゴシリアスプレイメソッドがもたらすもの(1)参加者の意見がしっかりと引き出される

 レゴシリアスプレイメソッドは、そのメソッドを活用したワークに参加すると非常にシンプルな印象を受けるけれども、その裏にある仕掛けはなかなか複雑である。その複雑さゆえに、他のメソッドではなかなか生まれない効果が生み出される。

 そのメソッドを学び、今も研鑽を続けるファシリテーターの一人として、その複雑さを、できるだけ紐解いて説明してみたい。これまでも、いろいろな形でNoteには書いてきたが、改めて文章にしなおしてみる。

参加者の意見がしっかりと引き出される

 まず最初に指摘したい利点が、参加者の意見がしっかりと引き出されるという点である。

 レゴシリアスプレイメソッドでは、レゴブロックを使って自分の意見を作品として表現させる。
 作品無しで直接的に言葉で意見を言わせないのは、ブロックによって「言わないこと」まで表現されるからである。
 ここでの「言わないこと」は、「言葉にする必要を感じていないこと」と「言葉では言いにくいこと」の2つに分かれる。

「言葉にする必要を感じていないこと」が表現される

 私たちは、普段の会話で考えたことを何から何まで全て言っているわけではない(事細かに語る傾向がある人もいるが)。「言葉にする必要を感じていないこと」は存外多く、その人の考えを知るために決定的に重要であることが隠れていたりする。レゴブロックで作品を作ってもらうと、その人の思考の中で大事な部分がより多く出てくる。それだけ会話が充実する。もちろん、大事なことの全てが出ない場合もある。そのときは作品を通じて質問すると大事なことが掘り起こされてくる。
目の前にある作品のある部分を指さしながら「その表現についてもっと話してくれることはありませんか?」はそのためにぜひ使いたい質問である。

「言葉では言いにくいこと」が表現される

 私たちは、言いたいことにうまく言葉を当てはめられないことが多い。言葉が見つからないという理由で意見を尋ねても、何も語らない人がいる。特に、感覚的な部分、情動的な部分についてはそうだ。詩人としての訓練を普段からしていれば話は別かもしれないが。そのとき、レゴブロックによる表現は多くの人にとってより簡単に言葉にならないことを表現してくれる大きな助けになる
 ある目標に向けて、なかなか到達できない苦しさを感じているとき、壁を作ったり(高い壁であったりツルツルして上りにくかったりといろいろな表現がある)、目標のある向こう岸までの隙間をつくったり(ジャンプして越えなければならない。距離や落ちた時の運命表現は様々)、はたまた暗闇を表現するかもしれない。

 レゴブロックだけで、言葉にならない微妙なものを全てを表現できるわけではないので、実際には作品を見せながら言葉を重ねて説明が行われる。作品を見せてもらいながら聞く話は、素敵な表現の掛け算でパワフルなコミュニケーションになる。作品だけ見ても伝わらないし、言葉だけ聞いても伝わらないことを伝えることができる。

このようなときにぜひ使いたい

 大切なことを話し合ってみたものの「どうも意見が出ない」「腹を割って話している感じがしない」のであれば、この点のみで、レゴシリアスプレイメソッドを使った話し合いを試してみる価値は大いにある。

 また、「普段から話しあっているけど、普段は出てこない意見をたくさん引き出す場にしたい」というときにも良い。そのために場所を変えて合宿したり飲み会をしたりする組織は多いだろうが、その代わりにレゴシリアスプレイのワークはピッタリだ。

 組織のリーダーの方へ。「自分の話が今ひとつ伝わっていないかも」と感じる場合にもぜひ機会を作ることをお進めする。自分の考えをモデルで表現してみて、そこに言葉を乗せてみよう。長々と話をするよりもずっと他のメンバーに伝えることができる。そのときには、メンバーの考えもモデルにしてもらって、話を聞いてみてほしい。つまり一緒にワークをしてみよう。

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