思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(2)「見える、思う、ひっかかる」
この本の中で最初に紹介される思考ルーチンが、「見える・思う・ひっかかる」である。
使い方の一例としては、考えさせたい絵や写真などを用意する。
それを見せて、にどのようなものが描かれているかをできるだけ見たままを生徒達に言わせる(例:「床に白い長いものが落ちている」)。次に、描かれているものが何だと思うかを言わせていく(例:「白い長いものはかき混ぜ棒かな」)。解釈を引き出し仮説を出させるのがよい。その上で、「思う」の解釈からどのようなことがいえるか(例:かき混ぜ棒だとしたら中央の女性のツボと合わせて使うのかもしれない)、さらに考えるべきことは何か()などを広くどんどん出させる。
このように「見える・思う・ひっかかる」は、観察から、事実と解釈を意識させ、以降の探究につながる問いを出させるという効果を狙う
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「見える・思う・引っかかる」
この思考ルーチンは、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおいて活用するならば、問いを出し、モデルを作り終わった後からであろう。
まずは「見える」については、モデルを作ったのち、そのモデルについて説明してもらう前に、少し時間をとってモデルを観察してもらう時間をとるのが良いだろう。モデルを別の角度から観察してみるのもいいかもしれない。それだけでいろいろなことに気づくかもしれない(作った本人も)。
「思う」については、扱いに注意が必要である。なぜなら、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドには「モデルの意味は作った人のもの」という大原則があり、それを崩すと、全員の参加感や心理的安全性が大きく損なわれるリスクが生じるからだ。
これを避けるための一つの方法が「席替えチャレンジ」である。手間はかかるが、席替えをして別の人が作った作品がどのようなものだと思うか考えさせる。敢えてゲーム感覚で特別な取り組みだという文脈を与え、「思う」ことを言わせてモデルへの関心を高めていく。
「ひっかかる」は、その後のさらなる探求への引き金になることが狙いとなる。そうなると、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドで行われるモデルの表現に対する質問(このブロックの意味は何ですか?)ではない。
ここは、モデルに基づきながらさらに考えてみたいと感じる、想像力をかき立てるプレイフルな質問がそれに近い。例えば、「このモデルの主張から具体的に何をし始めるべきだろうか」とか「もし、このモデルに〜〜が起こったらどうなるだろう」などの疑問である。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドでは、モデルを作ることだけでもその過程で様々な情報が整理されるという利点があるが、そこで終わってしまってはもったいない。作ったモデルや他の人の話も共有したのちに、次に何が起こるか、条件が変わったらどのような変化が訪れるか、次に考えてみるべきことは何か、など次につながることを考える時間を少しでも良いのでとるべきだろう。
こうしたことで、この「見える、思う、ひっかかる」の思考ルーチンのパワーをワークショップに巻き込むことができるだろう。