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「チームの成果を最大化する3つの原則」とレゴシリアスプレイメソッド

 ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューの2024年12月号の特集は「チームの力を最大化する」である。その中の一つとして「チームの成果を最大化する3つの原則」という論文が掲載されている。著者ははアンガス・ドーソン(マッキンゼー・アンド・カンパニー シニアパートナー)とケイティ・ジョージ(元マッキンゼー・アンド・カンパニー最高人材責任者)である。

 この3つの原則の狙いは、学習のためのフィードバック・ループを作ることにある。現状を把握し、問題を洗い出し、改善し、行動するというループを確実に作り上げるということである。

原則1:オペレーティングシステムの開発

 ここでいう「オペレーティングシステム」はチームのメンバーがお互いにコラボレーションや変革、相互のサポートをできるような仕組みをそろえたものである。
 具体的にどのような仕組みにするかは組織によって変わるとしながらも、基盤としては、「キックオフの開催」「1 on 1の実施」「レトロスペクティブ(回顧)を通じた現状把握」であるという。明確に書かれてはいないが、最初のキックオフは、1 on 1や現状把握などをするための信頼関係構築の基盤となるということであろう。

原則2:アクティブでリアルタイムの測定に投資する

 これはデジタルアプリや簡単なアンケート・フォームなどを通じて、活動にどれだけ一生懸命にやろうとしているかの心的状況を把握する活動を続けるということである。こうしたスコアに変化が低下し始めれば、それは特にリーダーが介入すべき状態であり、原則1で開発したオペレーティングシステムを見直す契機ともなる。
 また、マッキンゼーはリアルタイムの測定で、プロジェクトメンバーがどのくらい対面でともに過ごすとパフォーマンスが最大化するかについて調べてみたということが論文で紹介されていた。約50%のあたりが最も最大化されるという。もちろん、業界や会社によって何を測定すべきかは異なるので慎重で試行錯誤しながら良い指標を設定することが必要である。

原則3:継続的改善とイノベーションを実現するための仕組みをつくる

 これは、原則2で確立したリアルタイムのデータをもとに、改善策を立て、実行するという取り組みをつくるということである。最初は改善策はうまくいかないかもしれないが、改善策の成功、不成功の記録もデータ化して取り込んでいくことで徐々に改善案の効果を積み上げることが期待することができる。

レゴシリアスプレイメソッドとの関連について

 今回の原則のなかで、明確に導入した方が良いと感じるのは、原則1の「キックオフの開催」のタイミングである。ワークショップを通じて、お互いがどのような考え方をするのか、どのような人柄であるのかを知ることができる。キックオフはお互いの緊張感は高い状態でスタートするので、レゴシリアスプレイメソッドはコミュニケーションの敷居を下げる(口を開きやすい)点で短い時間の中でお互いの距離を縮める。
 次に「1 on 1 の実施」や「レトロスペクティブによる現状把握」はレゴシリアスプレイメソッドでも可能であるし、その効果は期待できる(言語化できない部分まで把握することができる)。ただ、「1 on 1」などは実施のための時間も限られているだろうから、上司も部下もレゴシリアスプレイメソッドに馴染んでいないと効率は上げられないだろう。

 原則2と原則3はデジタルベースで運用される。データを集計して全体の傾向を掴むため、レゴブロックで作られたモデルを介するやり方は現在のところ難しい。もし、モデルの画像を取り込んで自動的に感情や態度の傾向を分析把握できるような技術が確立できれば、話は違ってくるだろう。
 いずれにせよ、デジタルデータを使ってデータを共有し、高速に改善のサイクルを回していく方法とレゴシリアスプレイメソッドを組み合わせるのは「現在のところ」難しい。逆に言えば、ワークの中で作られたモデルやストーリーをデジタルデータに変換できたりデジタルで解析できたりすれば、新たな応用の地平が広がっていくということでもある。

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