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「リーダーシップチームの機能不全」の解決にレゴシリアスプレイメソッドはどう役立つか

 ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューの2024年12月号の特集は「チームの力を最大化する」である。先日、その中の一つとして「チームの成果を最大化する3つの原則」という論文を扱った。

 今回は、その次に掲載されている論文「リーダーシップチームはなぜ機能不全に陥るのか」を取り上げてみる。著者はトーマス・ケイル(チューリッヒ大学教授)とマリアンナ・ザングリーロ(ザ・ネクスト・アドバイザーズ・パートナー)である。
 ここでいう「リーダーシップチーム」は、CEOと上級幹部クラスが組むチームであり、「経営陣」という言葉よりも、お互いに影響を及ぼし合っている関係性にあるイメージで考えれば良いだろう。

機能不全の3つのパターン

 著者たちは、このリーダーシップチームがよく陥る機能不全状態を3パターンあげている。

(A)サメの水槽
 お互いに生存のための権力闘争を繰り広げ、その結果として意思決定が下されている状態である。相手との権力闘争に勝つことが主眼なので、誰かの責任下にある重要なプロジェクトの足を引っ張ったり、ひどい時には機密情報をリークするところまで進む。当然、チームとしての士気は損なわれ、成果は出ない。

(B)ふれあい動物園
 やみくもに協調を重視し、他のメンバーの提案は無批判に全て受け入れる。失敗の責任の追求にも消極的で学びが積み上がらない。積極的な意見を交わさないので、提案はブラッシュアップされず、問題点などにも気づかない。結果として、組織のパフォーマンスは低下する。

(C)凡人集団
 チームのメンバーが、担当する部門の結果を上げていくためのスキルも動機も持ち合わせていない状態で、協力しおうともしない。その地位についたことで自己満足に陥り、過去の栄光に浸り、現状維持を望むといった有害な性質が目立つ状態になっている。

高業績チームに至る道筋

 こうした機能不全は、戦略やオペレーション、行動において明快さが欠けていることが大きな原因になっているという。
 何が期待されているか明確になることで、自分の取り組みが全社的にどのように貢献しているか理解できるようになり、それが高業績チームに至る道筋になるということだ。
 著者たちは、より具体的に以下のことをするように提案している。

・明確なビジョンとパーパスを策定する
・アラインメント(ビジョンやパーパスに従った人材配置)を重視する
・責任を明確にする
・行動規範を定める

 これらの取り組みによってチームマネジメントは機能不全を脱し、高業績へと至る道が開けるということである。

レゴシリアスプレイメソッドに何ができるか

 レゴシリアスプレイメソッドの最大の強みの一つは、会話では十分に掴みきれない、(自分を含んだ)その人の思考や感情を可視化できることにある。可視化すると同時に、レゴ・ブロックは基本的にブロック相互の位置関係を物理的に固定した表現となるため、考えを整理することにもつながるのである。

 リーダーシップチームの機能不全は、明快さの欠如から生まれてくるということを考えれば、「あなたがこの組織のビジョンをどう描いているか」「あなたは、どのようなパーパスがこの組織に相応しいと考えているか」という問いでそれら明確にして、お互いの考え方を全員で整理していくことはかなり効果的だといえる。

 また、自分自身のスキルや強みに関するモデルを作れば、そのビジョンやパーパスにどう連結するかもブロックで表現できる。もちろん、イメージの世界であるので実際にそのようにうまく機能するかわからない。しかし、第一歩を踏み出すことはできる。うまく機能しなくても、その経験を踏まえてもう一度、レゴシリアスプレイメソッドでの表現にトライすれば良いというだけのことである。

 もうひとつ強調しておきたいのは、レゴシリアスプレイメソッドでは相互の意見の否定や潰し合いにはならず、お互いの意見をどう組み合わせて一つの意見へと集約していくように必ず行動を向かわせることができるということである。繰り返しワークを行っていけば、自然と「サメの水槽」には決してならない文化を組織に作り出すことができる。

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