THE GAZETTEを読む（15）2015年5月号 習慣的思考を断ち切る
本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。
今号のテーマである「習慣的思考を断ち切る」は書籍、Building a Better Business Using the Lego Serious Play Methodでも、レゴ®︎シリアスプレイ®︎をビジネス問題に使うときの３大効用の一つとして挙げられている、非常に大切なコンセプトである。ちなみに残りの２つは「20-80の会議を前のめり（100-100）会議にする」と「知の解放へと導く」である。
あなたは何度、「私たちはいつもそうしてきた 」という言葉を聞いたでしょうか。あるいは自ら言ったことがあったかもしれません。危なくないから。うまくいくから。壊れていないなら、直さなくていい。
私たちの多くは、キャリアの初期にこの言葉に苛立ちを覚えたものです。このような態度が蔓延していると、とても行き詰まり、諦めているように感じられます。特に、知識もエネルギーも熱意もあり、同僚に一目置かれる存在になりたいと願っている若手社員にとっては、この考え方を変えるためにできることはほとんどないように思えたものです。しばらくして、時には数カ月、時には数年、多くの人が努力をやめてしまうのです。
これはまさにビジネスの抱える絶えない大きな悩みの一つである。安定して成功を重ねてきた会社ほど、こうした習慣的思考が蔓延りやすい。そして若手は３年以内にやめるか、省エネに徹した社員になってしまう、というとドキッとする企業人も多いのではないだろうか。
新しいものを共創する
多くの人は、何をすべきかを指示されることに抵抗があります。組織のリーダーは、説得力のあるスピーチをし、説得力のある電子メールやメモを送り、インセンティブ制度や懲罰制度を設けて、組織の変化を鼓舞したり強制したりすることができますが、成功することはありません。国際的なコンサルタント会社であるMcKinsey & Co.が行った調査によると、変革の取り組みの70％は失敗しています。
人々が自分たちで解決策を生み出すとき、オーナーシップは即座に生まれます。レゴ®︎シリアスプレイ®︎のメソッドは、組織のあらゆる場所にいる人々が集まり、同僚と協力して、変革に取り組むためのフレームワークを創造するためのプラットフォームとツールを提供します。過去の経験を基にするのではなく、レゴ®︎シリアスプレイ®︎のモデルを構築することで、様々な解決策を生み出すための新しいメタファーでできた土台を作ることができます。
ここでは前例踏襲が文化となりつつある（なってしまった）組織のなかで、変革に向けてどう人を動かすのかについて、よくある方法とそれが成功していないという調査データがつきつけられる。
そのデータを乗り越えて人々を積極的に動かすために、インセンティブの工夫をするよりも、解決策にオーナーシップをもつことの重要性を説いている。「オーナーシップ」は自己決定感と言い換えてもいいだろう。さらに、自己決定したものが「これまでを踏襲するものではない」ことであることが変革を目指そうとすれば当然重要になる。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドは、基本的に過去にではなく、現在（リアルタイム）に自然と目を向けさせやすい。そのため、過去の経験を過大に評価したストーリーは出にくく、実現に向けて努力したいと感じる解決策がでやすい。
McKinsey & Co.によると、成功する変化への取り組みを支えるアクションとは、以下のようになります。
1) オーナーシップをもたせる
2) 変化を阻む障壁を特定する
3) テストを行い、パイロット版から学ぶ
4) 理解しやすい題材で変化をスケジュール化する
レゴ®︎シリアスプレイ®︎の一連のワークショップが、これらの勧めにどのように対応できるかは、それほど想像力を必要としません。変化を成功させる確率を高める4つの知見に沿ってモデルを共同で作り上げることで、オーナーシップの共同を促進し、他のファシリテーション技法を超えるレベルの明確さを提供します。
オーナーシップの構築は、レゴ®︎シリアスプレイ®︎（LSP）プロセスの中核をなすものです。変化に対する障壁を特定し、変化に対する解決策を構築することは、一連のLSPのプロセスの中で構築することと同じだとわかるでしょう。パイロット版はLSPワークショップの中で簡単に設計でき、パイロット版の後のLSPワークショップでは教訓をつくりだすことができます。そして、成功するLSPワークショップでは、いつも理解しやすい題材がでてきます。
このマッキンゼーが定める４つのステップは、何らかの問題解決を目標としたワークショップのロードマップづくりにも大変参考になる。レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドでは、一人一人が自分の視点で考えをモデルを表現していくので、問題について語るだけでもオーナーシップが生まれてくる。解決を阻む障壁についても、解決案についても自分の視点で自分の考えをつくる。あまり詳細な事項（金額や期日など）を検討するには向かないが、解決へのロードマップをわかりやすく鳥瞰的に見渡す風景を作り出すには向いている。
オーナーシップとは何か？もしくは何がそうではないのか？
レゴ®︎シリアスプレイ®︎で習慣的な考え方を打ち破る方法について詳しく知るには、数々の実例をここからダウンロードしてください。
最後に実例紹介へのリンクが貼られていたが、残念ながら今はリンク切れとなっている。具体的なワークショップ・レポートは、今では検索すればいくつも出てくるので困ることはない。
いずれのレポートを読んでも、参加者の一人一人が自分の作品（問いに対する見解）についてオーナーシップをもって発言していることが伝わってくるだろう。そして、普段あまり口に出さない部分について、モデルの表現に出てきやすいので、参加者はお互いに、そして自分自身についても気づきが生まれ、結果として、問いについて認識を深めた体験をしていることが描かれているだろう。
一人でも多くの人に、フレッシュな思考で、前に進む話ができる喜びをレゴ®︎シリアスプレイ®︎を通じて味わってほしいと願う。
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